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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】「エネルギーの低い相手」を動かす、対話と場づくり

おはようございます。 共創コーチングの稲垣友仁です。

昨日、6月21日は「夏至」でしたね。
一年の中で最も昼の時間が長く、太陽のエネルギーが満ち溢れる日。皆さんはどのように過ごされましたでしょうか。

東洋の思想では、夏至は「陽」のエネルギーがピークに達する瞬間とされています。そしてこの日を境にして、季節の針は少しずつ「秋分」という、夜が長くなる「陰」のフェーズへと向かって静かに回り始めます。

つまり、今は「外へ外へとエネルギーを発散する季節」から、「内面を見つめ、じっくりと成熟させていく季節」への大きな転換期にあたります。

今回は、教育現場でお聞きしたエピソードをもとに「相手の主体性を引き出す、関わり方と場づくり」について、「陰陽」の関わり方の視点からお話しします。

「いつも良かれと思ってアドバイスしているのに、なぜか相手が動いてくれない」
「モチベーションが低いメンバーにどう接していいか分からない」
とお悩みの方に参考にしていただけたら幸いです。

1. 指導者の情熱が、ときに相手を「殻」に閉じ込める
ある教育現場の研修を終えた後、そこに参加されていた先生から一通のメールをいただきました。
そこには、私たちがマネジメントや指導において、ついつい陥りがちな「罠」と、それを鮮やかに乗り越えたプロセスが書かれていたのです。

その先生は、新学期から始まったある授業の中で、少しエネルギーが低めに見える学生たちと向き合っていらっしゃいました。

指導者として「彼らをより良く導きたい、引き上げたい、主体的にさせたい」という熱い想いから、最初は先生側の高いテンションやエネルギーをそのまま相手に照射するように関わってみたそうです。

例えば、生徒が授業を面白いと思えるように生活に根ざしたネタを提供したり、生徒が意見を言わないと、こちらから当てて発言を促したりなど、授業が盛り上がるように進めていました。
これはまさに生徒に陽的なエネルギーを出してほしいという願いのもとに行っていることがわかります。

しかし、生徒に陽的なエネルギーを出してもらうために教師側が、陽的にエネルギー高く授業を盛り上げようとすればするほど、生徒たちはできるだけ意見を言わないとう陰のエネルギーの隠れようとしていきます。

そこで先生はあることに気づかれました。

「エネルギーの低い陰の相手に、こちらが高い陽のエネルギーをそのままぶつけても、相手はかえって自分の殻に閉じこもってしまう」と。
コーチング研修を受講して、このことに気づいたそうです。

これには、多くのリーダーや親御さんも「ハッ」とするのではないでしょうか。

相手を元気にしたい、動かしたいと思うあまり、こちらの「陽のエネルギー(正論、熱量、アドバイス)」を強烈に当ててしまうと、受け手はその眩しさと圧力に圧倒され、眩しさのあまり目を閉じ、心を閉ざして引いてしまうのです。

うちの息子を見ていてもそう思います。親としてやってあげたい気持ちで言っても、受け取ってくれないどころか殻に閉じこもってしまうことは何度もありました。

2. 「陰的関わり」から「陽的関わり」への移行
そこでその先生が取った行動こそが、まさに「陽から陰へのシフト」でした。

先生は無理に自分のテンションを上げて引っ張ることをやめました。まずは相手のありのままの状態を受け止める関わり(陰)から入るように授業の組み立てを変えたのです。

具体的には、いきなり活発な意見交換やディスカッションを求める(陽の関わり)のではなく、まずは資料をじっくり読んでもらい、それぞれの感じたことや感想を静かに共有し合うスタイルを辛抱強く続けました。

ここで行われていたのは、徹底的な「ラポール(安心感・信頼関係)の形成」です。

「この場では、無理に高いテンションにならなくてもいいんだ」
「自分の地味な感想でも、そのまま受け止めてもらえるんだ」

そうやって、教室内(チーム内)に少しずつ安全な土壌が耕され、お互いの信頼関係という根っこが育っていくのを、先生は一歩引いてじっと待たれました。

そして、そのラポールが十分に形成されたと感じられた場面で、先生は初めて、陽的な関わりである、意見を交わしあう「グループディスカッション」を導入したそうです。

結果は劇的でした。学生たちはこれまでの静けさが嘘のように、驚くほどその場をおもしろがり、生き生きと主体的に対話を始めたというのです。最初は殻にこもっていた学生たちが、自ら内側のエネルギーを解放し、動き出した瞬間でした。

3. コンサルタント的な牽引と、ファシリテーター的な場づくり
これは、ビジネスの現場などでもよく見られますが、専門知識や正解を外側から提示して「こうしなさい、これが最短ルートだ」と指導するのは、いわば「コンサルタント(陽)」のアプローチです。相手に知識が全くなく、教えてほしいと思っていたり、引っ張ってほしいと思っている時には有効ですが、相手のエネルギーが低いときや、主体性を育てたいときには機能しにくくなります。

一方で、傾聴(陰)や問いかけ(陽)を通じて、相手の内側にある気づきや本音をじっくりと引き出していく陰陽の両方を関わりを相手に合わせて行っていくのが「コーチ的」なアプローチです。

今回の先生のように、まずは相手のテンションに寄り添い、安心できる関係性を作ること(陰)で、初めて相手は自分の内側にある「答え」や「やる気」を探しに行くこと(陽)ができるようになります。

さらに、先生がメールの最後でこう結んでいらっしゃったのが非常に印象的でした。

「チームや研究室の運営においても、今まさに、上からグイグイ引っ張るだけでなく、その場の対話を促し、関係性を紡いでいく“ファシリテーター的なスキル”の必要性も強く感じています」

人間は、「自分で自分の内面を見つめ、自分の言葉で気づいたこと」に対してしか、本気で行動を起こすことはできません。

リーダーの役割とは、強い光で相手を照らし続けること(陽)だけではなく、相手が安心して発言でき、自ら繋がり合えるような「場を整えること」(陰)も大切です。つまり、相手の状況に合わせて陰陽の関わりを行っていくことが大切なポイントなのです。

4. 秋分に向けて、あなたの関わりに「心地よい余白」を
夏至を過ぎ、これから季節がゆっくりと秋分に向かっていくように、私たちのコミュニケーションやマネジメントも、少しだけ「内省・受容・場づくり」のバランスを増やしていく絶好のタイミングです。

もし、あなたの周りに「少しエネルギーが落ちているな」「もっと主体的に動いてほしいな」と感じる部下や後輩、あるいはお子さんがいれば、ぜひ次のステップを意識してみてください。

エネルギーを照射しない:こちらの熱量や正論をぶつけるのを一度脇に置く。
相手の状態に合わせて聴く:まずは相手の現在のトーンに合わせ、ありのままを否定せずに受け止める。
ラポールを育む余白を作る:沈黙を恐れず、相手が自分のペースで言葉を紡ぎ出すのをじっと待つ。
陽的関わりへの移行:関係性が整ったところで、初めて問いかけ、対話を循環させる。
リーダーが作るその心地よい「場づくり」こそが、相手が自ら「陽」の輝きを放ち出すための最高の舞台になります。

【EXPERT GUIDE】
今週のメルマガの内容を振り返ってみて、あなたの周りにいる「少しエネルギーが低いように見える方」に対して、どのような関わりから始めるといいでしょうか?今週は考えてから行動してみてください。

共創コーチング 稲垣友仁

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