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メルマガ「共創コーチング®」未分類稲垣 陽子

【共創コーチング®︎コラム】コーチングマインドを実践する

おはようございます。稲垣陽子です。

目の前の人とどういうスタンスで関わるのか。

私たちコーチはそれを「コーチングマインド」と呼んでいます。
ICFではコーチングマインドを
「開放的で、好奇心を持ち、柔軟性があり、クライアントを中心に据えた思考態度」
であると定義しています。

お腹の子とある男子生徒

では、実際にそれはどんなものなのでしょうか。
高校の教師で受講生Aさんのお話を今日はお伝えします。(許可済)

約30年ほど前の話ですが、
Aさんはお腹の中に待望の赤ちゃんが宿り、
産休に入る直前でした。

当時、Aさんが赴任していた学校は、
進学校というよりも、
やんちゃな生徒が多い学校だったそうです。

どんどんお腹が大きくなるAさんに向かって、
ある日、学年の中でもパワーがあり
番長のような男の子が話しかけてきました。

生徒:「先生、腹ん中にこどもがおるんか?」
先生:「そうよ」

すると
「蹴ったろか?」

そう言ってきたそうです。

彼女は一瞬恐怖を感じましたが、
体格のよい生徒に対して、力でねじ伏せることはできません。
そこで正直に思っていることを伝えました。

「私ね、今、このお腹にいるのは、
なかなか授からなかったんだけど、
ようやくやって来てくれた待望の子どもなの。
もうすぐ会えるのを本当に楽しみにしているんだよ」

と子どもが生まれてくることの嬉しさ、
喜びを素直に伝えました。

すると、その男子生徒は静かに先生の目を見て

「俺でもか?」

といいました。
(俺でも楽しみにされていたのか?の意味)

彼女は

「そうだよ。あなたも。
だから蹴らないでほしいな。」
そう心の底から頷きながら答えました。

すると、生徒はひとこと「わかった」と答えました。
そして何もせず静かに帰っていきました。

後日談として、
男子生徒は仲間にいいまくったそうです。
「A先生は話のわかるやつだ」と。

以前よりもぐんと生徒との距離が縮まった
と話してくれました。

相手にYes 自分にYes

私たちは、自分という存在をもちながらも
社会の中では様々な役割をこなします。

Aさんも「先生」という役割だけで生徒と向き合うなら、
この場合は「そんなことを言ってはいけない」など諭したり、
罰したりすることも一案としてあったかもしれません。

しかし、A先生は役割を超えて、
人として自分の感じていることを自分の言葉で伝えました。

冒頭のコーチングマインドの中にある「開放的」とは、
そんな役割を超えて人として自分を表現することだと私は思います。
ただし利己的な感情を表現すればいいわけではありません。
クライアント中心に据えた思考態度が大切です。

クライアント中心とは分かりづらいので、
別の分野の力を借りますと、
セラピーの分野で「パーソンセンタードセラピー」というのがあります。

その軸の一つに、
無条件の肯定的関心というのがあるそうで、
その研究で、関西大学心理臨床センター白崎愛理先生の論文を読んでいたら

「条件なしの承認とは自分の本質から
一人の人としての他者に向かって、
意志を持って積極的にyesと言う態度である」
と書いてありました。

つまり、コーチングマインドとは
「相手にyesと言う態度で
自分の本質から
相手に向かって正直な自分を開示する」
とも言えるかもしれません。

そんな態度が目の前の人にとって
人生を変える一言として心を動かすのでしょう。

ぜひ、相手にyes.
ついでに自分にもyes.で、
今週もどうぞ素敵な1週間をお過ごしください。

参考文献
対話・他者との「出会い」の哲学から考える無条件の肯定的関心 : Schmidの論文から学ぶ
https://mshn.jp/r/?id=14oq93131&sid=4758

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●上記のテーマをさらに深めるために
下記のバックナンバーがおすすめです。

【20メートルの会話】
>> https://mshn.jp/r/?id=14oqa3131&sid=4758
(今日は心ほっこりシリーズです♪)

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