20th anniversary
記事一覧
メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】一度のテストで人を判定しない、という発想(形成評価)

おはようございます。共創コーチングの稲垣友仁です。

朝晩はずいぶん過ごしやすくなってきましたが、日中はまだ汗ばむ陽気が続きます。体調は崩されていないでしょうか。

さて、今回は教育には必ずついてくる「評価」というテーマについて書いてみたいと思います。
これは、教育だけではなく、企業でも人事評価など、私たちの日常では、様々な場面で人を評価をする機会があります。

形成評価とは

私たち共創コーチ®養成スクールが属しているコーチングの国際資格団体であるICF(国際コーチング連盟)は、2027年から資格認定の評価方法を大きく変えます。

これまでは「最後に一度だけ実技試験を行い、その一回で合否を決める」というやり方(「総括的評価」)でおこなっていましたが、これからは、学びのプロセス全体を通じて継続的に成長を見ていく「形成的評価」という方式に大きく切り替わります。

「形成的評価」というのは、もともと教育の分野で使われてきた考え方です。
学びの最後にテストをして、その結果だけで合格・不合格を判定する評価の仕方を「総括的評価」と呼びますが、形成的評価はこれとは対照的なアプローチです。
学びの途中経過に目を向け、その都度フィードバックを返しながら、次の成長へとつなげていく。
最終地点の一点ではなく、そこに至るまでの過程そのものを評価の対象にする、と言えばイメージしやすいかもしれません。

私たちは日常のさまざまな場面で、つい「一度の出来事」で人を判断してしまいがちです。

一度のプレゼンの出来、一度の商談の結果、一度の面談での受け答え。そのときの調子や偶然に左右される一点だけを切り取って、「あの人はできる/できない」と結論づけてしまう。
これの方が評価はシンプルに行えますからね。

しかし、途中のプロセスを見ていないぶん、努力や失敗からの立ち上がりなど、学習や成長に欠かせない部分は評価されません。

本当に見るべきなのは、その人が積み重ねてきた「線」の方ではないでしょうか。

以前より粘り強く考えられるようになった。
以前より人の話を最後まで聞けるようになった。

など、そうした変化の兆しは、一度きりの場面では決して見えてきません。
継続的に関わり、途中経過に目を向けて初めて見えてくるものです。

こうした途中経過を生かすために形成評価というものがあります。
ただ、評価をするために労力がとてもかかるので、教育分野ではやっていけたとしても、成果に比重をおく企業などでは実施するのは大変かもしれません。

1on1ミーティングにおける形成評価の応用

もし企業分野などで活かせるように、最近爆増している1on1 の場面で活かせるポイントをご紹介したいと思います。

まず一つ目は、1on1や面談のたびに、簡単でよいので記録を残すことです。

「今日話したテーマ」
「本人の言葉で印象に残ったフレーズ」

を一行だけでもメモしておく。
数ヶ月分たまると、それだけで本人の変化がはっきりと見えてきます。
「前は〜のような言葉を使っていたけど、今日は〜という言葉をつかっていたね」
「どんな心境の変化があったの?」

二つ目は、面談の冒頭で
「前回から今日までの間で、変わったと感じることは何か」と本人に問いかける習慣を持つことです。

評価者側が一方的に判断するのではなく、本人自身にも自分の変化を言語化してもらうことで、線としての成長がより実感を伴ったものになります。

三つ目は、評価のタイミングを「一度の面談」で完結させず、複数回に分けて確認することです。今回のICFの形成的評価も、まさにこの発想に基づいています。

一度の場面だけで結論を出さず、途中経過を何度か確認しながら、最終的な評価へとつなげていく。
この構造自体を、社内の評価制度や育成計画に取り入れてみるのも一つの方法です。

相手の変化を線で見る

現場で日々メンバーと関わる皆さんには、評価をすることまで時間がないかもしれませんし、その価値が結果につながればいいのですが、徒労に終わることもあるかもしれません。
今日の伝えてきた内容は、大々的な昇給につながるような評価ではなく、日常的な活動の中に活かしていただければと思います。

ぜひこの「線で見る」という視点を、明日からの関わり方に少しだけ取り入れてみていただきたいと思います。

今日の一場面だけで判断を急がず、「先月と比べてどうか」「三ヶ月前と比べてどうか」と、少し時間軸を引いて眺めてみる。それだけで、同じメンバーの姿が、これまでとは違って見えてくるはずです。

教育で行われている形成評価は、単なる試験制度ではなく、「人の成長をどう捉えるか」という眼差しそのものなのかもしれません。

【EXPERT GUIDE】
今週、あなたの周りにいる誰か一人を思い浮かべ、「今日、その人はどうだったか」ではなく「ここ数ヶ月で、その人はどう変わってきたか」を振り蹴ってみてください。
その時、あなたの中にどのような感覚や気づきが生まれましたか?
面談などあった時に、ぜひ相手の方に気づいた変化について伝えてみてたり、何があったのか問うたりしてみてください。

共創コーチング 稲垣友仁


※上記のコラムは、当社発行メルマガに掲載されたバックナンバーです。
下記のバナーから登録いただけば、毎週月曜日朝8時に、このようなコラムが届きます。
意識をもって一週間を始めることができます。

【共創コーチング®︎コラム】レディネス(準備状態)を育てる
一覧に戻る
質問力を磨くためにできること