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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】「四馬」あなたはどの馬?

おはようございます、共創コーチの稲垣友仁です。

名古屋市八事にある興正寺。
私はここにある竹翠亭(下記写真)という茶屋で毎月1回行われる、
阿息観(あそくかん)という瞑想に通っています。

阿息観とは、呼吸に意識を向けて、自分の心と身体を静かに観ていく瞑想です。
「阿」という音は、すべての音のはじまり、すべての母音の源とされ、
宇宙やいのちの根源を象徴すると言われています。

その「阿」に意識を向けながら、ただ静かに息をする。
思考を止めようとするのではなく、浮かんでくる考えに気づき、また呼吸に戻る。

とてもシンプルですが、やってみると、
自分がいかに普段“外側”に意識を向けて生きているかに気づかされます。

阿息観が終わると、いつもお坊さんが短い説法をしてくれます。
先日のお話が、とても印象的でした。

それが、「四苦(生・老・病・死)」と「四頭の馬」の話です。

仏教では、人生の苦しみを表す言葉として「四苦」を提唱しています。

それは誰もが避けて通れない苦しみ――

生(生まれること)
老(年を重ねること)
病(病気になること)
死(死を迎えること)

この四つの苦しみです。
生きている限り、どれも私たちの人生に訪れます。

そしてお釈迦さまは、人がどのようにこの「四苦」に気づき、
どう行動していくかを、四頭の馬にたとえて語ったと言われます。

四頭の馬のたとえはこうです――

1頭目の馬は、鞭が振り上げられるだけで、気配を感じてすぐに動き出します。
2頭目の馬は、鞭が毛や尾に触れたときに、気づいて走り出します。
3頭目の馬は、鞭が皮膚や肉に当たって、初めて動き出します。
4頭目の馬は、鞭が骨にまで達する痛みを感じてから、ようやく走り出します。

この四頭は、全て良馬だと言われています。

一番目の良馬は、世の中の苦しみを聞いただけで心を打たれ、修行や実践に向かう人。
二番目の良馬は、他人の苦しみを目の当たりにして気づく人。
三番目の良馬は、身近な人の苦しみを通して初めて気づく人。
四番目の良馬は、自分自身の老いや病や死に直面してから気づく人です。

この話の後、お坊さんは、こう静かに言いました。

「さて、皆さんは、どの良馬のタイプでしょうか?
そして、これらの良馬の中でも一番良い馬はどれだと思いますか?」

この話を聞いたとき、多くの人はこう感じるかもしれません。

――「やっぱり一番目の馬がいい。できれば一番に気づきたい」
――「四番目は遅すぎるんじゃないか…」

確かに、世間一般では「早く気づく=優れている」と評価されがちです。
実際、そういう解釈で語られる仏教の話もあります。

しかし、この場でのお坊さんの解釈は違いました。

「真言宗では、どの馬もOKなんです。
大切なのは“どこで気づいたか”ではなく、
そこから“何に気づくか”です。」

この言葉は、私の心に深く残りました。

どの馬も、最終的には走り出しています。
気づくタイミングが違うだけで、
「苦しみに気づいた」という事実は同じなのです。

「気づき」があった瞬間から、その人の人生は変わっていくのです。
これは、ただ苦しみを避ける話ではありません。

人生の現実と真正面から向き合い、そこから何を学び取るか――
それが人生を豊かにする“智慧”の芽生えなのです。

それは失敗ではなく、
人生がこちらに語りかけてきているサインなのだと思います。

阿息観も、四頭の馬の話も、
結局は同じことを教えてくれている気がします。

――気づくこと。
――今ここに立ち止まること。
――そして、自分の内側に戻ってくること。

今年は午年。
だからこそ、自分はどんなスピードで走っているのか、
どんなタイミングで気づいているのか、

一度立ち止まって見つめてみるのもいいのかもしれません。

さて、あなたは今、どの馬でしょうか?

今週は、ほんの少しだけ、
自分の呼吸に意識を向けてみてください。
そこに、次の一歩のヒントがあるかもしれません。

共創コーチング 稲垣友仁

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