おはようございます、稲垣友仁です。
2016年2月、ニューヨークタイムズ・マガジンにチャールズ・デュヒッグが「最高のチームを作る要因は何か」を突き止めたGoogleの5年にわたるプロジェクトを記事として発表しました。
それが起点となり、一気に「心理的安全性(Pshycological Safety)」という言葉についての認識が人材育成分野で広がりました。
現在は、日本でも広がっています。
心理的安全性とは、元々、1999年にハーバードビジネススクールのエイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)教授により提唱された概念です。
集団において、「一人ひとりが恐怖や不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態」のことを指します。
集団やチームにおいて、心理的安全性が高いチームほど、学びが深まり、パフォーマンスが高くなるということです。
心理的安全性については、このメルマガでも2016年から度々書いているので、ご存知の方も多いでしょう。
今日は、その心理的安全性が見つかったプロセスが大変興味深くて、それをお伝えしようと思います。
(下記は、『恐れのない組織 The Fearless Organiation』エイミー・C・エドモンドソン英治出版を参考にしています)
心理的安全性の提唱者であるエイミーさんは、1990年代の中頃、学生時代に自身の論文を描くために医療現場に出てリサーチをしていました。
元々、エイミーさんの興味は、「チーム」にありました。
チームワークが医療のミスをもたらす影響を調べていたのです。
彼女は予想として、「最も高い成果をあげるチームが最もミスが少ない」という仮説を立てていました。
しかし、自分が集めたデーターを分析したところ、優位な相関関係があることが一目でわかったのですが、予想とはまったく逆の結果になったのでびっくりしたそうです。
結果は、「有能なチームほど、そうではないチームに比べてミスを多くしている」というデーター結果だったそうです。
???
その時、彼女はわけがわからなくなり、本当にそうだろうかと考えましたが、その後、はっとひらめきました。
そうか、有能なチームには率直に話す風土があって、気軽にミスを報告しあったり話し合ったりできるのだとしたらどうだろう。
そこで、そのような仮定を立て、改めて実験を進めていくと、
「優秀なチームのメンバーは、ミスの可能性について率直に話していた」
ことがわかってきたのです。
この風土に「心理的安全性」と名前をつけました。
皆さんもないでしょうか。自分の意見が言いにくい集団。
集団にとって大事なことなんだけど、これを言うと「変な人と思われる」「バカと思われる」「無能と思われる」などの思いが先立ち言えないこと。
これは、あなたのせいではなくチームにそういう雰囲気が流れているのかもしれません。
もちろんあなたも、その雰囲気を作っている一人にはなるのですが・・・。
そのような状態で気軽には言えず、後々重大なミスにつながるということは、ニュースなどでも聞いたことがありますよね。
これはミスだけではなく、一人一人の才能も潰してしまっている非常にもったいない状態ではないかと思います。
この心理的安全性は、グループのリーダーによって差が出るそうです。
要するにリーダーによって心理的安全性は偶然ではなく必然的に作ることができるのです。
また機会があれば、それについても言及してきたいと思います。
参考文献:
恐れのない組織 The Fearless Organiation
エイミー・C・エドモンドソン(Amy C. Edmondson)
英治出版
https://mshn.jp/r/?id=11yk12462&sid=4758
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