おはようございます。稲垣陽子です。
以前勤めていた会社に「ほとんど喋らない同僚」がいました。
彼女はいつも仕事を黙々とこなし、話しかけても返って来る言葉は「はい」「いいえ」の返事だけ。
会話は弾まないので、雑談なんてもってのほか。
かといって彼女は仕事ができない訳ではありません。上司から言われたことはきちんとこなしていました。
当時の私は平社員でしたし、彼女と特に喋らなくても業務に何も支障がなかったので困りませんでしたが、上司は少し扱いづらく思っている様子でした。
そんな彼女には一つとても特徴的なことがありました。
それは、ほぼ毎日同じ洋服を着てくるのです。
黒いブラウスとジャケットに茶色のプリーツスカート。
それは似合っていましたし、ビジネスシーンにマッチしていましたのでおかしくはありませんでしたが、職場は女性が多く、華やかだったので毎日同じ服の彼女は少し違和感がありました。
最初、私は、彼女は何か特別な理由でお金を節約しているのかもしれない、と思いました。
ランチの様子を見ても、お弁当だったりコンビニだったりと手軽なものが多かったからです。
そこで、ある時、
「なんで毎日同じ服を着ているの?」
と、勇気を出して聞いてみました。
すると彼女は
「効率的だから」
「洋服についていちいち考えなくて良いから」
と答えました。
そして、意外そうに私を見て、「気になりますか?」と聞いてきました。
その反応を見て、そうか、彼女と私は見ている世界や視点が異なっている、つまりタイプが違うんだと実感したのでした。
コーチングで「タイプ分け」という考え方があります。
人のコミュニケーションをベースに4つのタイプに分けるという考え方です。
その中で「アナライザータイプ」というのがあります。
アナライザータイプはきちんと正確に伝えたいと思ってコミュニケーションを取るタイプです。
思いつきで喋ったり自由にアイデアを出して話すことよりも、データや情報、過去の経験などをもとにきちんと話すことを好みます。
また、仕事にノリや楽しさを必要とはしていません。
アナライザータイプに、楽しく仕事をしようよ、と言うと「仕事に楽しさは必要ですか?」と切りかえされます。それよりも、根拠に基づいて順序良く仕事を行ったり、計画的に業務を行う方がモチベーションが高まります。
つまり彼女はアナライザータイプであり、毎日同じ服を着ているのも特別な理由ではなく、効率的で機能的であることを選んでいるだけだったのです。
このように、人はそれぞれタイプがあります。
自分と同じタイプの人は、ウマがあったり、何を考えているのかなんとなく分かるので、同調しやすいです。
しかし、自分とタイプが違う、特に真逆のタイプだと理解しづらくなります。
私も彼女の話を聞くまで
「毎日同じ洋服を着ることは効率的だ」
という発想は全くありませんでした。
タイプが違う場合、そこには「小さな違和感」が生じます。相手が自分の思考や期待とは違う言動をしている場合は、違和感を感じそれを変えたくなります。
例えば、この場合なら
「毎日違う服を着た方が気分転換になるよ」
と、私は言いたくなります。
でも、彼女にとっては気分転換など必要なく、いかに効率的に動くかの方が意味があるのです。
このようにタイプによって物事の捉え方や価値観は違います。そしてそれをベースに人は会話を行います。
よって、まずはその人がどんなタイプで何を思ってその言動を行なっているのか、聞いていくことが大切です。
今の時代は4つのタイプだけではなく価値観ももっと多様化されているので、自分ならこうする、が正解となる確率は25%以下かもしれません。
違和感をそのままにせず、まずは聞いてみる。
では、今週も素敵な1週間になりますように。
参考図書
図解:タイプ分けを知ってアプローチをするとうまくいく
http://mshn.jp/r/?id=0ydph2462&sid=4758
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