おはようございます。稲垣陽子です。
今日は「手の冷たさ」を通じて気づいた、私自身の経験からのお話をお届けします。
以前の私は、パーティーなどで人と握手することが苦手でした。
なぜなら、いつも私の手が冷たかったからです。
手が冷たい理由は、緊張からでした。
人の集まる場は大好きで、わいわい楽しく話すのも得意。
でも、心の奥では気づかないうちに緊張していたのです。
その緊張が「冷たい手」として現れていました。
握手を通じてそのことが相手に伝わってしまうのが恥ずかしく、
自然と避けるようになっていました。
一見楽しんでいるように見えても、心のどこかで緊張している。
そんな内面が手の冷たさとなって表れていたのです。
緊張すると、交感神経が活性化し、血管が収縮します。
これが「闘争・逃走反応(fight or flight response)」です。
体は危機的状況に備え、血流を重要な臓器に優先的に送り、
末端の手や足は冷たくなります。
では、手を温かくするためにはどうすればよいのでしょうか?
ChatGPTに聞いてみると、こう言います:
「リラックスすると副交感神経が優位になり、血流が改善されて手が温かくなる」
「愛情や幸福感を感じると、エンドルフィンやオキシトシンなどの
ホルモンが分泌され、体温が上がることがある」
つまり、手を温かくするにはリラックスし、幸せを感じれば良いということ。
でも、私はその場を楽しんでいたはずなのに
なぜ手は冷たいままだったのか、とても不思議に感じていました。
その答えとして私が出会ったのが「ポリヴェーガル理論」です。
この理論を簡単に言うと、人が「安心・安全」と感じるかどうかは
意識的な思考ではなく、無意識の神経系が判断しているというものです。
この考えを知って、私の中で腑に落ちました。
私はパーティーの場を意識的には楽しんでいたつもりでした。
しかし、無意識レベルでは、発言や表情を慎重に選び、
「場を白けさせないように」「不快にさせないように」と自分を守っていました。
それは、「この場は完全に安全ではない」と感じていた証だったのです。
コーチとして、相手に本心を話してもらうためには、
安心・安全な環境を提供することが不可欠です。
しかし、それは単に笑顔や楽しい会話をするだけでは足りません。
私たちが大切にすべきは、自分や相手の体の反応に敏感になることです。
言葉だけではなく、相手の無意識が「この場は安全だ」と
感じられるようにすることが重要です。
そのためには、自分自身を深く理解し、相手の状態も尊重する姿勢が求められます。
安心を感じられる環境で初めて、
人は信頼関係を築き、本音を語ることができるのです。
私たちが目にする言葉や表面的な振る舞いだけに頼らず、
体と心の微妙な反応をキャッチすることが、
より深いコミュニケーションを生む鍵となります。
ぜひ今週、ためしてみてくださいね!
参考図書
ポリヴェーガル理論入門: 心身に変革をおこす「安全」と「絆」
ステファン・W・フォーチェス著 春秋社
おかげさまで毎日お申し込みをいただいております。
一人一人にお返事できませんが、お名前を見ては嬉しくなっています。
当日はFlavor of co-creative coaching!
つまりコーチングを味わう時間です。
最近の研究でも、コーチングのスキルよりも
在り方が対話に影響すると言われています。
自分のあり方を大事にしながら、相手と共創していく対話を目指していきますので、
初心者の方も久しぶりの方も、もちろんコーチングを熟知している方も、
それぞれの段階で学べるように設計しています。どうぞ安心してご参加ください。
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