おはようございます。稲垣友仁です。
今日は、自分も指導者として関わってきたサッカーのことについて書きたいと思います。
先日、サッカー日本代表がワールドカップの決勝トーナメントに進出しました。
残念ながら目標のベスト8にはなりませんでしたが、
メディアで連日放映される代表選手・監督の活躍に歓喜した方も多いかと思います。
日本は1998年から7大会連続でW杯に出場。
サッカーは国民的人気スポーツとなり、
何よりも最大の変化は日本代表の活躍ぶりです。
特に今回は、ドイツ、スペインなどの強豪と言われるチームに勝利し、
2大会連続の決勝トーナメント進出を決めました。
この成果は、惜しくも初のワールドカップ出場を逃した1993年ドーハの悲劇、
日本サッカーの発展を目指したJリーグの発足などから30年という
気が遠くなるような長い期間の積み上げが影響を与えていると思います。
1993年のJリーグ開幕以降、
日本サッカー協会は代表強化、若年層育成、指導者育成の
「三位一体」の強化策に取り組んできました。
それに加えられた「サッカーの普及」も含めて
その成果が表れ始めたのではないかと思います。
僕も1999年まで地区や都道府県のジュニアユース年代の
サッカー指導者として関わらせていただきました。
当時からサッカー協会が熱を入れて組織全体を変えていこうとする意気込みは
地区の指導者まで伝わってきていました。
例えば、サッカー協会の日本代表の選出は下記のようになっています。
・学校orクラブチーム単位から優秀な選手を選抜して地区選抜チームを作る。
・さらに地区選抜チームから優秀な選手を選抜して都道府県選抜チームを作る。
・さらに、都道府県選抜から優秀な選手を選抜して地域(例えば東海など)選抜チームを作る。
・そして地域選抜から優秀な選手を選抜して全日本代表チームを作る。
という構造がしっかりしていたのです。
僕たち部活動の顧問も、地区選抜や県選抜、
そして県を広域にまたがる地域選抜にも関わらせてもらうことがあるので、
何年かやっていると自分達の地域や県から日本代表になる選手や
Jリーグ・海外リーグで活躍する選手が出てくるのです。
自分のチームではなくても、
自分達が関わったことがある地域や県の選手が日の丸を背負ってプレーしたり、
Jリーグで活躍する姿を見ると嬉しくなりますし、
自分も誇り高くなるもので、俄然やる気が増します。
このような仕組みがあるので、地区の指導者も仲間意識が高く、
皆で選手を育てていこうとする意識が生まれます。
欧州では、地域のクラブチームのみが育成の担い手となるのですが、
日本は、学校部活動、地区や地域のクラブや、Jリーグジュニアユースなどもあり、
現在の代表選手は様々なルートから、全日本の代表チームにたどり着いており、
多様な育成の場があることも躍進の一つの理由になるかと思います。
あと、年代別に必要な技術や指導方法などが整備されていて、
ジュニア年代から勝利至上主義になるのではなく、
成人期に完成されるよう指導方法もデザインされており、
それらを地域ごとに伝達するシステムも整備されていました。
僕もこのような仕組みの中で、
トップレベルのコーチの具体的なコーチング現場を目の当たりに見ることができ、
その経験はとても今に生きていると思います。
指導者もそうですが、Jリーグは100年構想のもと
チームが地域の中に入って一緒に地域づくりを担うという
立ち位置で展開されています。
サッカー協会やJリーグが上手いのは、
自分たちも担い手になるという仕組みづくりです。
しっかりとしたビジョンを掲げ、
その達成に向けて地道に草根のような取り組みで、
組織全体を巻き込んでいく。
日本サッカー協会やJリーグなどが30年前にまいた種が、
この30年間の取り組みによって芽が出て葉がつき始めたように思います。
2050年までにワールドカップで優勝するという
大きな目標に向けて、これからさらに加速するのではなかと思いました。
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