おはようございます。稲垣陽子です。
先日、研修でコーチングを学んだAさんが、子どもにコーチングを試した体験を話してくれました。
Aさんは、ワーキングウーマン。
日中は仕事、夜は母として家事をこなし、1日忙しく働いています。
研修で「聞く」ことの大切さを学んだ彼女は、自宅に帰り、子どもの話を手を止めて聞こうと思ったそうです。
お子さんは小学生。
毎日音読の宿題が学校から出ます。
Aさんはいつも洗濯物をたたみながら、お子さんの音読を聞いていたそうです。
しかし、その日は、手を止めて話を聞くことに集中したそうです。
すると、いつもは1回しか読まないのに、
「ちょっとうまく読めなかったからもう1回読むね」
と言って、もう一度読んだのでした。
「3回読んだら、もっとうまく読めそう」
とさらに3回目も読もうとしたそうですが、それはさすがに止めたと言っていましたが。
自分の話を聞いてくれた、それだけでお子さんの喜んでいる様子が目に浮かびました。
実はこの話はこれで終わりではありません。
Aさんが洗濯物をたたまずに話を聞こうとした時、Aさんの態度に対してお子さんが、
「お母さん、今日は洗濯物をたたまなくていいの?」
と訊いてきたと言うのです。
「うん、今日はたたまないよ」と言ったら、上のくだりになったのでした。
子どもにはすべてお見通しだったのですね。
私にも経験があります。
私も子どもが小さい時に、よく洗濯物をたたみながら音読を聞いていました。
子どもの音読って、正直、ちょっと煩わしいのです。
だから顔と耳は子どもの方に向いていますが、手は常に動いていました。
ばれていないだろうと思っていましたが、ばれていたのでしょうね。
「ついで」で話を聞いていたことが。
Aさんの話を聞きながら、自分のこととして胸に手を当てて反省したくなりました。
コミュニケーションをつい「ついで」で済ませてしまうこと、ありますよね。
何かをしながら、耳だけ傾ける、顔は聞いているけれど、頭の中は違うことを考えている、など、時間がない時、急いでいる時などはつい「ついで」に相手の話を聞いてしまったり、コミュニケーションをとってしまうことがあります。
でも、それは相手に伝わっている可能性が高いということが、今回の事例でよくわかりました。
自分の話は「ついで」に聞いてもらっている、ついで、ということは2番手であるので、一番ではない、ということ。
ある意味「ついで」に聞くということは、あなたよりも大切にしているものがある、というメッセージを伝えていることにもなります。
逆に言うと、「ついで」を止めて相手の話を一番にして聞くだけで、
あなたを大事にしているよ、というメッセージまでも含むことができると言えます。
そこで、今週は相手の話を一番にして話を聞くことを意識してみましょう。
3分でいいので、全身全霊で相手の話を聞いてみてください。
では、今週も素敵な1週間になりますように。
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