おはようございます、稲垣友仁です。
昨日は、宇都宮大学主催のグローバルサイエンスキャンパスで
高校1年生にコーチングの授業を行ってきました。
10年目に入りました。
この事業は卓越した意欲・能力を持っている高校生を募集・選抜し、
将来グローバルに活躍しうる
傑出した科学技術人材を育成を目的としています。
”大好きな何か”を持っている高校生、先端科学に触れたい高校生、
将来成し遂げたい夢を持っている高校生が集まって、
互いに学び合い、刺激し合う場です。
ここでは、大学レベルの講義、実習、実験が
30種類ほどリストアップされ、自由に選択できます。
2年目の才能育成プランでは、大学の研究室に入り、
先生や大学生に指導を仰ぎながら、オリジナルのテーマを持って研究を進め、
学会発表などを目指すとうプログラムです。
コーチングはこのプログラムの選択必須科目として位置付けられ、
毎年トップバッターとして授業をさせていただいています。
このプログラムに選抜されている高校生は、
モチベーションがとても高いです。
それだけに限らず、学校での成績も良いと聞きます。
この10年彼らと接して思うことは、
見た目は世の中にいる普通の高校一年生ですが、
他の高校生と違ってモチベーションが高いのは、
自己決定感が高いからではないかと感じています。
自己決定感とは、自分自身で物事を決める力やその感覚のことです。
たとえば、自分の仕事ではないけど気になってるから自分からやる時や、
生徒さんだったら学校の部活でどのポジションをやりたいとか、
家での勉強のやり方をどうするかなど、
自分で考えて決めることが自己決定感です。
何かを決めるときに「自分で決めた」という感覚が強いと、
それをやる気持ちがもっと高まります。
反対に、誰かに命令されてやることは、
あまりやる気が出ないことが多いですよね。
これはエドワード・デシとリチャード・ライアンが
提唱した「自己決定理論」を基にしています。
自己決定理論では、「自己決定感」がやる気や成績、
ウェルビーイングを高めるとされています。
この根拠となる実験では、立体パズルを使った実験で、
問題を選択できたグループ(自己決定感の高いグループ)は、
選択できなかったグループよりも長時間取り組みました。
この結果から、自己決定感が
課題への内発的動機づけを高めることが示されています。
「内発的動機づけ」は、外からの報酬や罰ではなく、
自分の中から出てくるやる気のことです。
たとえば、好きな本を読むときや、自分の興味があることを調べるとき、
誰かに言われなくても自然とやる気が出ますよね。
これが内発的動機づけです。
外からの報酬(たとえば、テストでいい点を取るとごほうびがもらえる)や
罰(たとえば、宿題をしないと叱られる)で動くことを
「外発的動機づけ」と言いますが、
これは一時的なやる気にしかなりません。
内発的動機づけは、長く続くやる気を生み出します。
自己決定感と内発的動機づけの関係性において、
自己決定感が高まると、内発的動機づけも高まるということがわかっています。
自分で決めたことに対しては、自分自身が納得しているので、
やる気が持続しやすくなりますよね。
では、どうすれば自己決定感を高めることができるのでしょうか?
いくつかの方法を紹介します。
日常で自己決定感を高めることで、内発的動機づけが高まり、
仕事や勉強、趣味など、いろいろなことに対するやる気が続くようになります。
自分自身で物事を決める力を身につけて、充実した毎日を過ごしていきましょう。
参考文献:
Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2013). Intrinsic motivation and self-determination in human behavior. Springer Science & Business Media.
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