おはようございます。稲垣陽子です。
人は誰しも違います。
だから分かろうとする好奇心も生まれます。
しかし違いがフォーカスされすぎると、
異質のものとして排除のエネルギーも動きます。
私たちはその時に何ができるでしょうか。
メジャーリーガー、ダルビッシュ有選手のお母さん、
郁代さんのインタビュー記事に、
とてもヒントとなるお話がありましたので、今日はそれをご紹介します。
ダルビッシュ選手が小学4年生になった頃の話です。
周りから「ハーフ」と言われて、からかわれるようになったそうです。
そして、ある時彼はその行き場のないフラストレーションから、
友達を殴ってしまったそうです。
郁代さんがその家に謝りに行こうとした時に、
その子のお母さんから電話がありました。
普通だったら文句を言ってくる場面で、そのお母さんは、
「今日学校でこういうことがあったと。
お母さん(郁代さん)がどんな人かも分からないですけど、
何か子ども(有)が抱えていることがあるんじゃないか。
だから有くんの気持ちを聞いてやってほしい」と言ったそうです。
さらに、その後も
「その電話がきっかけでお母さんが
私のことをすごく好きになってくださって、
有も含めて仲間に入れてくれることを積極的にやってくださったんです。
そのお母さんの家で友達同士が集まってご飯を食べていたようですが、
そのときに有のことも、子どもに「呼んで来い」みたいな感じで言ってくれて、
私にも声を掛けてくださって。
お母さん同士繋がろうみたいなことをしてくださったんです。」
「そのお母さんがいなかったらあの状況から抜けられなかったと思います。
単純に子どもたちを家に呼ぶだけじゃなくて、
遊びに来た子どもたちにも有のことを何回も話をされたと思うんですね。
それで子どもたちも有に対して
もう嫌なことはやったらあかんと、だんだん理解していったと思うし、
そのお母さんがみんなに有を受け入れるようにしてくれましたね。
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有も少しずつ思ってることを言える環境にはなっていったと思います。」
ダルビッシュ選手の友達のお母さんのお話でしたが、いかがでしたか。
私はこの人の行動を素晴らしいなと感動しました。
こういう場合よくあるのは「おたくはどういう教育をしているのか」と責めたり、
暴力振るわれるからあの子には近づかないように、
と子供に指導することが一般的だと思います。
つまり、異質なものとして分断したり、排除して、
できるだけ関わらないようにすることが多いと思います。
でも、このお母さんは、何度も誘い、
声をかけ、積極的に関わることをしたのです。
排除されれば、その人は孤立します。
でも、このお母さんは孤立させるのではなく、
仲間として招き入れようと関わりました。
招き入れる姿勢、これはコーチの姿勢にもつながってきます。
ICFのコアコンピテンシー、4.1には
”クライアントの自己認識、取り巻く環境、体験、価値観、信念を含みうる状況で、
クライアントへの理解を深めようとしている” とあります。
自分とは違うものを異質として排除するのではなく、
理解しようと包含する姿勢です。
自分は人と違うかも、と思って生きている人はとても多いのではと思います。
その中で、ありのままの自分を受け入れ
招き入れる人の存在はどんなに心強いことでしょう。
私たちはどちらの立場も取ることができます。
排除する人になるのか、招き入れる人になるのか。
改めて、私は異質を包含し、招き入れる人になりたいなと思いました。
あなたもぜひ、今週は招き入れる人を意識して過ごしてみませんか。
今週も素晴らしい1週間になりますように。
引用記事
“ダルビッシュ有の母・郁代「あの子や、あの子!と指を指されて…」教室でも野球でも“ハーフ”と呼ばれ、人に気を許さなかった息子が徐々に心を開いた「1本の電話」” CHANT WEB 取材・文/松永怜
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