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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】卓球女子、伊藤美誠選手のアドバイジング力

おはようございます、稲垣友仁です。

先月26日に韓国釜山で開催された世界卓球2024団体戦に参加した卓球女子日本代表は、
決勝で中国に惜しくも敗れ、5大会連続で準優勝となりました。
この決勝戦は、後世に残るほどの素晴らしい接戦となりました。

中国が卓球で圧倒的な強さを誇る中、
日本が接戦を演じた要因の一つとして、
伊藤美誠選手のパフォーマンスが挙げられています。
2021年の東京オリンピックで金・銀・銅の3つのメダルを獲得した実績を持つ伊藤選手は、
決勝戦では補欠でしたが、彼女のベンチワークがチームの
パフォーマンス向上に大きく寄与したと言われています。
特に、タイムアウト(*1)時の的確なアドバイスが
選手たちに影響を与えたとされています。

伊藤選手のアドバイスを細かくみていくと、
コーチング技法でいう、「フィードバック」や「提案」のスキルに当たりますので、
その辺をどのように機能させていたのかについて
今回のメルマガでは見ていきたいと思います。

伊藤選手のインタビューから

彼女のアドバイスは、
「選手の考えを広げ、選択肢を第三者の視点から伝える」というアプローチで、
技術的な面だけでなく選手たちの心理的な側面にも
配慮をして行なっていたことが伺えます。

下記は、試合後の記者会見で伊藤美誠選手が語っていたインタビュー(*2)の抜粋です。

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1、『選手の考えを広げたり、選手の選択肢を第3者目線で伝えるということをやっていました。
でもアドバイスで「絶対これやりなよ」っていうのではなく、
「これやってみたらどう?」と、
提案はするけど後は選手に任せるっていう姿勢ですかね。
やっぱり選手が最後はしっかり考えて戦って欲しかったので、そうしました。』

2、『選手は試合に集中しているので、
周りが見えなくなってしまった部分とか、
気づいてるけど意外とできできなかった部分とかもあったりするので、
それを第3者目線で「こういうことやられてるよ」とか
「こういうことやってみたらどう?」とかっていう感じで、
こう選手に気づかせるというか、
「あっそうだった」っていう風な感じで会話が進んで、
なんかお互い本当に話し合うことができたかなって思います。
アドバイスというより、一緒にコミュニケーションを取ってたっていう感じで、
すごいたくさん話し合いができたなっていう感じでした。』

ーーーーーーーーーー

伊藤美誠選手は、アドバイスを強要するのではなく、
選手が自分の考えを広げ、
異なる選択肢を考えることができるよう
サポートすることを重視していたようです。

提案とフィードバック

上のインタビュー1は、
「これやってみたらどう?」という
自分の経験も掛け合わせて相手に具体的な方策を伝えていますので、
コーチングで言う「提案」になります。

2は、
「こういうことやられているよ」という、
目標に向けて必要な状況や情報を的確に伝えていますので、
コーチングでいう「フィードバック」になります。

彼女は第三者の視点から、
選手にさまざまな可能性を提示することを基本としていました。
ただし、最終的には「これも1つの選択だ」と提案しつつも、
最終決定は選手に任せ、
彼女たちが自信を持って戦うことを望んでいたと述べています。
つまり、伊藤選手は選手自身が最終的には自分で考え、
自分のやりたいことを実行することを支持していたのです。

彼女のアドバイスは、選手たちに選択肢を広げ、
第三者の視点から新しい視野を提供することに重点を置いていました。
これは、コーチングにおいて非常に価値のある
フィードバックと提案というアプローチであり、
選手が自らのプレーについて深く考え、
状況に応じた最適な戦略を選択できるようにするものです。

私はメダルを3つもとっている選手だということで
意見を押し付けることなく、
選手の考えを支持する姿勢は対等性を大事にしていた
ということもポイントです。

いくら自分がメダルとたくさん取っているからといっても、
そのアドバイスを違う選手が噛み砕くのは難しいです。
しかもタイムアウトの1分の間に伝えることで、
逆に選手が調子を崩す可能性もある中で行うのは至難の技。

そのような状況下で、伊藤選手は自分が世界で戦ってきた経験を
「フィードバック」や「提案」という技術で、
うまく他の選手に掛け算できていたのだと思います。
そのことが接戦という状況を生み出した。

試合を行うのは選手です。
選手の自律性を大切にし、しかも対等性を意識しながら
フィードバックや提案をしていくことで
選手のパフォーマンスに影響するんだというコーチングのお手本のような
コミュニケーションになっていましたので
今日は取り上げさせてもらいました。

相手が目指している目標に向けて、
相手の気づいていない部分に気づいたら、
ぜひフィードバックや提案をトライしてみてください。
その時は、自分の意見を押し付けることなく、
相手の自律性を中心におき、相手との対等性も大切にして、
コミュニケーションを取る感じで伝えていってください。

参考資料:『*1タイムアウト』
1試合に1度だけ1分以内で取れる
休憩・作戦タイムのこと。選手はベンチに戻りコーチに相談ができる。

『*2インタビュー』
早田ひな 伊藤美誠のコーチングに
「要求きっついなぁ(笑)。美誠らしい」|
世界卓球2024団体戦 日本代表帰国記者会見 – YouTube

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