おはようございます。稲垣友仁です。
現在、サッカー女子のワールドカップが
オーストラリア・ニュージーランドで開催されています。
日本代表の「なでしこジャパン」は、
先週土曜日にノルウェーを破りベスト8に進み、
今回の大会もかなり上位に行きそうな勢いです。
2011年になでしこジャパンはワールドカップで初優勝をして
強豪国の仲間入りを果たしており、
それ以降は予選をすべて突破しています。
逆を言うと、それまではほぼ予選で負けていたチームでした。
2011年付近でどんな変化があったのでしょうか?
今日は、なでしこジャパンが
世界の強豪チームに入ることになったと思われる出来事を
紹介したいと思います。
2011年にワールドカップで優勝する1つ前の大会、
2007年の中国開催のワールドカップでの出来事です。
この大会で、なでしこジャパンは、予選リーグで敗退してしまいます。
そのグループリーグの最終戦、日本対ドイツ戦においての話になります。
この大会では日中関係の問題から、
日本選手に対し、会場からブーイングが多く起こりました。
観客は現地の中国人が多く、
日本の国歌斉唱では多くの観客が起立せず、
また、試合中もドイツがボールを持つと拍手が起こりますが、
日本がボールを持つとブーイングを浴びせられるような状態でした。
結局、試合はドイツに2−0で負けてしまいます。
試合終了後、選手は応援してくれた人々にあいさつに行きます。
なでしこも、自陣のスタンドだけでなく、
中国人ばかりが集まるメインスタンドに向かっても
あいさつに向かったと思ったら、
みんなでおもむろに何かを開こうとしています。
何をするのかと思ったら、
白地に青い文字の横断幕を拡げて、
スタンドに深々と礼をしました。
その横断幕には
「ARIGATO 謝謝 CHINA!」
と書いてあったそうです。
それを見て、中国人は一瞬シーンとなりました。
しかし、数秒遅れて、パラパラと拍手が聞こえてきました。
その拍手の輪が広がり会場全体から拍手が沸き起こりました。
この時の様子を中国の各メディアでは下記のように伝えています。
「中国のブーイングは日本の横断幕に負けた」
「日本人は不快な気持ちを乗り越える勇気を見せたが、中国人にはその勇気がなかった」
「日本は試合には負けたが徳で勝った」
この横断幕の製作は、選手からの立案で行われたそうです。
当時は見ていてヒヤヒヤしましたが、
同時に度胸もあるなあと思いました。
あのようなブーイングのあるアウェーな中で
こんな行動を皆んなでやろうと思いつくなんて、
思いついても反対する人が多く出そうな感じですが、
感謝を示すと言う行為の方が
なでしこジャパンの中では優位なマインドだったんですね。
この行動は敵地においても多くの方の心を動かしましたし、
このような行為をやり切るこのチームは
強くなっていきそうな予感がしました。
この出来事のあと、
2008年北京オリンピックベスト4、
2011年ワールドカップ優勝、
2012年ロンドンオリンピック準優勝、
2015年ワールドカップ準優勝など輝かしい成果を出していきます。
海外チームに対して体格で劣る日本人が勝つ方法は
For the teamの精神を徹底し
組織として勝つ以外に方法は見つかりません。
チームのために動くという私たち日本人の強みを
何年もかけて積み上げてきたなでしこジャパンの精神は
現在のチームにも健在で、その強みに加えて、
日本サッカー協会の後押しもあり、
選手は海外でサッカーを行っている選手が増え
フィジカルやスキルも格段に上がってきています。
ひたむきさ、芯の強さ、明るさ(切り替え)、
礼儀正しさ、感謝、目配り、気配り、バランスのとれた判断・・・
我々日本人のアイデンティティ・リソースを活かしている、
素晴らしい例として、
なでしこジャパンのマネジメントはとても参考になると思います。
8月11日(祝金)16:30から
スウェーデンとの準々決勝戦があります。
NHKテレビ(NHKプラス)やFIFA+のHPで中継されると思いますので、
一度ご覧いただくといいかと思います。
多分、格上のチームとの対戦ですので、
耐えて耐えてカウンター攻撃、
という形の試合になる可能性が高いと思いますが、
耐える中でも声を掛け合い、試合中でも対話しながら、
仲間を信じて全員が役割をまっとうしようとする姿を
感じていただけるとと思います。
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