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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】お寺で学んだ引き算の美学


おはようございます、稲垣友仁です。

前回の僕のメルマガ担当時に「コーチングとの出会い」について体験談を書きました。

今日は、さらにコーチングへの理解を深めていった体験を書きたいと思います。

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僕は、2006年にコーチとして独立しました。
実は、2002年ごろからコーチとして独立することを考えていました。

しかし、独立して本当にコーチとして成功出来るかどうか、かなり不安でした。

それは、自分がやりたいライフコーチングがまだ日本では普及されるまでには至っていなかったからです。

2003年当時の日本では、ビジネスコーチングが流行り始め、企業でのコーチング研修が増えていた頃でした。

コーチング研修を受けたい」「コーチングを学びたい」人はいても、パーソナルコーチングを個別に受けたいというニーズは、当時、日本では少なかったように思います。

アメリカでは、経営層は特にメンタルケアのためにカウンセラーをつける習慣があると聞いていましたが、それと同じように自分にコーチを会社からつけるように言われる外資系の企業をはいくつかありましたが、日本人は何か抵抗があるのか、コーチングと聞いて、受けるよりも自分ができるようになって他人を支援する方にいくパターンがほとんどでした。

そういう状況もあり、なんとか日本人にあった独自のコーチングの手法を開発しなければ、今後、成功しないのではないかと考えていた時期でした。

答えは日本人の文化にある

いろいろなことを考えたあげく、日本人のことを知るには日本の文化の中に何かヒントがあるのではないかということを思いつき、日本における昔からあるコーチとクライアントの関係を考えると、お寺の和尚さんと檀家さんのイメージが浮かんできました。
そこで直感的にお寺に修行にいくことにヒントがあるのではないかという考えに至りました。

たまたまインターネットで調べたら、家から10分ほど行ったところに専光坊という室町時代から続く、一般の人が修行出来るお寺がありました。

後から分かったことなのですが、そのお寺は内観で有名なお寺で、ニューヨークタイムズにも修行の様子が掲載されたこともあり、日本人だけではなく、北米や南米、そしてヨーロッパの各国からも哲学者や宗教者、研究者などが集まってくるお寺でした。

お寺での毎日

当時は小学校の教師を行っていたので、お盆の夏休みを使ってお寺で1週間の修行を行わせていただきました。

お寺での生活は、朝5時に起きて、ご飯を食べて、掃除をして、テーマについて考えて行きます。

テーマは内観でよく行われている自分のこれまでの人生を振り返る時間です。

例えば、6歳から9歳までの母親に

・していただいたことは何か?
・して返したことは何か?
・迷惑をかけたことは何か?

を振り返り、1時間半ごとに和尚さんに考えたことを話します。

3年ごとに振り返り、母親、父親と順に進めていきます。

和尚さんは、ほとんどアドバイスをしません。

私が内観をして気づいたことを報告すると、深くうなづいて「そうですか、では、次の〜歳から〜歳までを調べてください」それの繰り返し。

携帯電話も使えないし、外との交流の一切を遮断された状態で自分自身と向き合う環境に1週間いると疲れるようなイメージをもたれる方もいると思います。

もちろん、自分と向き合うという行為自体大変で、辛い時もあるのですが、それ以上にお寺での活動を行っていると、体の内側からエネルギーが満ち溢れてきて、お肌の艶も出てきます。健康的で元気になってくるのが分かります。

足しても満足できない

そのお寺では、毎朝決まった時間に和尚さんの説法がありました。

ある日「引き算の美学」 というテーマでお話しされました。

「私たちは、自己主張、成績向上、より上へ上へ、の足し算ばかりの世の中になっています。また、 そのように教えられて育ってきました。
しかし、その世界では足しても足しても満足できない。 尽きることのないものを追いかける世の中になっています。
大事なことは、そういう足し算ではなく、自分から不純なものを次々と引いていく引き算により、本来の自分自身に出会い、人は幸せになるのです」

そして、

「真理はすで空中に飛んでいます。ここにあるんです。
大事なことは、それをキャッチできる感性があるかどうかです。
私たち はもともと誰もがすごい力を持っている。
そんな自分自身を信頼することと、私たちに出来ることは、常に自分自身を良い状態にしておくこと、キャッチできる感性を磨いておくことがもっとも重要なことなのです。」
とも

何かを頑張って積み上げていくとも大事だと思いますが、人生や自分や周りを信頼して「受け取る」という視点も本当に大事だと、心の底から気づいた感じがします。

ここから僕の人生が一気に変化していきます。

答えはその人の中にある

私がここで学んだことは、

「我々人間は、すでに元々持っている」

という考え方です。それは、やりたいことも、才能も、答えもです。
もちろん無いものもあります。

学校教育では、無いものに焦点を当てて教育が行われてきたように思います。

平均や基準に比べての評価は、何かを獲得しなければならないという強迫観念を生み出し、元々私たちが持っている素晴らしい才能や力にフォーカスせずに大人になった気がします。

たまたま学校教育で評価される才能を持った人はラッキーで、自信を持ってより才能を伸ばしていけると思いますが、そういう境遇になかった人、才能が他の場所にあった人達は学校が苦痛で仕方なかったと言っている人も多く聞きました。
そんな場所で多くの時間を過ごしてきているのです。

これは、学校だけでななく社会でも同じことが起こっていたのかもしれません。
とにかく、自分はこのようなことを学んだことはありませんでした。
これは大きな視点の変化でした。

人間は本来、自分についても「何をしたいのか?」とか、「これからどうやっていけばいいのか」ということについて、自分自身の中に答えを持ってるのだと思います。

しかし、日々の生活に追われ、周りの声に惑わされ、自分自身を見失い、ないものに意識がいき過ぎているパターンが多いように思います。

何か知識をつけたり、技術をつけたりという『足し算』ばかりではなく、自分の中から、いらないものを削って整理して行く『引き算』も行っていくことで、本当の自分自身、本質に出会うことができるのです。

そことつながると不思議と思わぬ力が発揮できたり、いろいろなものを引き付けたりして、人生が好転していくように思います。

コーチングでは、「答えはその人の中にある」という哲学があります。

お寺では、日常のノイズから隔離され、そこから影響を受けない、守られた環境の中で座って自分自身に質問を投げかけると、答えが自然と浮かんできました。普段よりも答えが見つかりやすい感じでした。

「あ~、これが、『答えはその人の中にある』ということなんだ!」

と実感できたお寺での修行体験でした。
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「NOTE」
上記のような自分のコーチング体験談や教育におけるコーチングの実践例やライフワ
ークを生きる体験談などを「NOTE」というブログのようなものにまとめています。

『稲垣友仁 note 教育とコーチング』

→ http://mshn.jp/r/?id=1161i34&sid=4758

※参考情報

『専光坊』
室町時代に建以来、五百年以上続いている。
昭和45年より内観を取り入れ、専光坊内観場を併設。
海外から哲学者や神父やシスターなども来寺する。
三重県桑名市

http://mshn.jp/r/?id=1161j34&sid=4758

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