おはようございます、稲垣友仁です。
先日、2月11日 昭和の偉大なプロ野球選手、そして名監督として活躍された野村克也さんが亡くなりました。
野村克也さんは、1954年に南海ホークスに育成選手として入団し、そこから首位打者・ホームラン王・ベストナイン・三冠王まで数々の功績を残す選手となっていきました。
選手を引退してからは、監督になり、ヤクルト、阪神、楽天など当時は弱小チームと言われていたチームを常勝軍団に変えていく名将として野球ファンからは認識されています。
何よりも野村さんのすごいのは、非常に有名な選手をたくさん育てているところです。
現在、ニューヨークヤンキースで活躍する田中将大投手などの若手の育成から、「野村再生工場」と言うネーミングができたように、選手としてのピークを過ぎたところに育成のメスを入れて再生する、例えば楽天イーグルスで39歳でホームラン王になった山崎武司選手など、野村監督の元で蘇った選手もたくさんいます。
現在のプロ野球チーム12球団中6球団の監督が野村さんの教え子ということで、野村さんは人を育てる天才と言っても過言ではありません。
育成という視点で、テレビ越しに野村さんの様子を観察していましたが、彼がうまいのは、言葉の使い方だと思います。
一つ一つの言葉がとても考え抜かれていて本質的で深く「哲学的」だといつも感じます。
あなたがリーダーなら、野村さんの言葉を聞いて鼓舞された方も少なくないでしょう。
最近の野村さんの追悼テレビ番組で見ただけで、下記のような名言を聞きました。
「人間的な成長なくして、技術的成長はない」
「監督業とは気付かせ屋」
「人間の最大の悪は鈍感であるということ」
「大きな失敗した方が成長する。小さな失敗は何度も繰り返す」
「人間何を残すかといえば、価値を残すというのもあるが、人を残すのが一番」
など、上記は、野村監督から選手達が学んだ言葉です。
先日からテレビやインターネットで野村さんの特集が組まれていますが、その中で僕が考えさせられた言葉が「原点能力を身につけろ」です。
これは楽天の選手達に語っていた言葉だそうで、何かに行き詰まったときは、原点の方法に戻れという意味だそうです。
投手がすごいバッターと勝負する上で、もうどうしようもない、抑えるのが難しいかもしれない、どこにどんな球を投げたらいいかわからない、ニッチもサッチも行かないとなった時には、例えば、ピッチャーがバッターに対する時、バッターを打ち取るのは、アウトコース低め。
ここにピッチャーは投球できれば確率的には抑えることができるというセオリーがあります。
困った時にはバッターのアウトコース低めに、普段から球を常に投げられるようにしておけば必ず状況が打開できる。
もしくは、そこに投げ込める自信が状況を打破できるし、その投手を能力以上の大投手にならせてくれると言っていました。
田中将大選手も楽天が初めてパリーグの優勝を決める時には、追い込まれながらもこの考え方を使って切り抜けたそうです。
開き直りにも似ていますが、データー的な確率も高いし、思い切ってやれますよね。
これはスポーツだけのことにあらず、人生でも、自分自身の仕事にも置き換えて考えることができると思います。
「原点能力」とは、あなたの仕事では何をすることに当たるでしょうか?
普段から、どのような基礎的な訓練をしておくべきでしょうか?
今週は、あなたの「原点能力」とは何か?を考えてみてください。
ちなみに僕はコーチです。コーチにも必要な能力はたくさんあります。
聞く能力や質問する能力、人を見抜く力など、それらはとても大事ですが、私が考えるコーチの原点能力は何かというと
「違和感をそのまま放置しない」
ことだと思います。
相手と話していて沸き起こる違和感。
それを目の前に、どのように提示できるかがコーチのとっても大事な能力だと思います。
いわゆる「正直さ」でもあるのですが、困ったときは、「正直さ」に戻るというのが私の原点です。
普段から、どのような人との間にもそれを感じ、それを上手く伝えるための努力をしていきたいと思います。
コーチング・システムズ 稲垣友仁
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