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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 陽子

【共創コーチング®コラム】「共創」ができるチームは何が違うのか?

思いを引き出すだけではうまくいかない

おはようございます。稲垣陽子です。

「共創コーチ養成スクール」を立ち上げて、この11月で丸5年になります。
今では国際コーチ連盟の認定資格、ACTPの認定をいただけるほどになりましたが、実はこの「共創」というキーワードにたどり着くまでにも、紆余曲折がありました。

というのも、コーチングをする上で「何かが足りない」という感覚が私の中にずっとあったからです。

共創コーチングを設立する前、私はコーチとして十数年活動をしていました。企業の社長、中間管理職やリーダー層を中心に面談を行い、カルチャースクールで600名以上の受講生に指導もしていました。

けれど、コーチとしての実績を積む中で、「人は簡単には変われない」ということが、徐々にわかってきたのです。

コーチングには、「相手の中に答えがある」というセオリーがあります。
それを信じて様々な問いかけを続けていたのですが、ただ相手の思いを引き出すだけではうまくいかない。何かが足りないのです。

先生が3回しか話さない授業とは・・

組織づくりを必要とする様々な現場で、コーチングの力をどう活かせるのだろうとしばらく悩んでいたのですが、そんなとき、とある人物のことを知りました。

辻哲哉さんという方です。三重県で学校の先生をしていらっしゃいます。
主人が教師をしていたときに知り合った方なのですが、初めて辻先生の授業が記録された動画を観たとき、普通の授業と子ども達の反応が違うことにびっくりしてしまいました。

何がそんなにすごいのかというと、辻先生のクラスでは、子供達主導で授業を進めていくのです。45分の授業の中で、先生が口を開くのはなんと3回だけ。

仲間の発言をしっかり聞こうとする。
発言した相手に触発され、また新しい視点や発想が生まれる。
仲間が言葉に詰まれば、自然に「頑張れ」と応援の声がかかる。
クラスの誰もが、みんなで答えを出していこうと頭をフル回転する姿勢に、そして何より楽しそうで生き生きとした表情に、私はとても感動しました。

その動画を観て、私のコーチングに何が足りなかったのかわかったような気がしました。

それまで、企業研修などで「部下の話を聞きましょう。そのためには相槌が大切です」なんてことを伝えてきました。しかし、順番が逆だったのではと思ったのです。

相手のよさを引き出そうと思ったら、まずは相手よりも先に自分の力をさらしていくべきなのではないか。
小手先のコミュニケーションスキルを磨くのではなく、自分の中にある才能を把握し、そしてそれがこの場で役に立つと信じて、周りに示していくことが肝心なのではないかと考えたのです。

「才能」は表に出すから磨かれる

私は「才能」とは、人前に出すことで磨かれるものだと思っています。
せっかく人とは違う個性や特技があっても、表に出ることがなければ埋もれたままで、誰かの役に立つことはありません。

なので、企業経営者、中間管理職、マネージャークラスの方など、リーダーとしてチームを引っ張っていかなければならない人ほど、自らの才能を提示するべきだと思っています。
才能そのものが部下の役に立つこともあります。しかしそれ以上に、リーダーの才能を表に出そうとする情熱や勢いが周りを触発し、同時に部下の才能も開花していくのです。

以前コーチした病院の院長であるAさんもそのお一人です。
自分の才能を自己開示することで、チームの空気が大きく変わりました。

もともとAさんは語学が得意で「海外へ行って勉強し、外国人の患者さんにも対応できる病院にしたい」という夢がありました。

しかし一方で自ら診察し、チームマネジメントも行うというハードなスケジュールをこなさなければならないと思っていました。でも、コーチングを受けて行動を変えました。
夢に向かって必要な才能を発揮し、新しいことに挑戦する回数も増えました。自分の才能を大事にするようになった分、部下の才能も尊重するようになりました。

するとスタッフからリーダーが出てきて、院長がいなくてもチームがまわるようになっていきました。院長をフォローしようとする過程で、互いのチャレンジを認め合う空気ができ、「私も力を発揮しよう」と動き出すスタッフも出てきてチームがまとまっていったのだと思います。

結果、病院は開業したまま、院長は長年の夢だった海外留学に3年も行くことができました。

異なる才能の掛け合わせが新たな価値を生む

私は、良いチームを作っていくためには、まずは誰かが能力を発揮してみないと始まらないと思うのです。それが周りの人々を触発し、動かします。

自分が活躍でき、相手が活躍できる場を創る。そのために、相手の話も聞くし、相槌も打つ。励ますような言葉も出てくる。
相槌を打つから良い空気ができるのではなく、自然と相槌を打つような空気を創っていこうという意識が重要なのです。

「異なる才能を持った人々が、互いに才能を掛け合わせることによって、より大きな成果や新しい価値を創り出している状態」。
私たちは、「共創」という言葉をこう定義しています。

誰か一人が価値を創るのではなく、集まった人々が、共に力を合わせ、価値を創っていく。
周りに任せることができ、周りを巻き込むことができ、かといって自分のやり方にこだわりすぎず、チーム全体の成果を求める。「共創」ができるリーダーは、そんな力を持っています。

私自身も、自分の能力を発揮しようと日々活動しています。コーチングをベースに、「たくさんの人が関わる組織やチームで共創を生み出せる人」を育てたいと思うようになりました。

共創を生み出せる人を当社では「共創コーチ」と呼んでいます。

まずは都道府県に一人、「共創コーチ」がいる状態をつくること。いずれは世界中に広めていくことが、私の夢です。

自分では気がついていない才能が、あなたにも、そして周りの人にもあるはずです。
どうか、表に出すことをためらわないでほしいと願います。

では、今週も素敵な一週間になりますように。

 

参考:http://mshn.jp/r/?id=0yzg52462&sid=4758
(YouTube動画:すごい教師のシンプルな授業
【The Simplest Lesson by a Japanese Great Teacher, Mr. Tetsuya Tsuji Japan】

 

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