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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®コラム】「1on1ミーティング」を活用するための4つのステップ

※初任者教員研修にて実際の面談のやり方を見せる稲垣友仁。 ユーモアも交えながら分かりやすく伝える力には定評がある。

「1on1ミーティング」が機能しないのはなぜか?

おはようございます! 稲垣友仁です。

「1on1ミーティングをしても、部下の成長に繋がらないんです」

最近、そのような悩みをよく聞くようになりました。
上司と部下がワン・オン・ワン、つまり1対1で定期的に面談を行う「1on1ミーティング」。海外の企業では以前から取り入れられているコミュニケーションの手法です。

部下の成長を促す効果があることから、最近では日本の企業でも取り入れるところが増えてきました。製造現場の上長が実施しているという話も聞きます。全国的に認知されてきたのかもしれません。

実際、僕たちのところにも、「1on1ミーティング」の研修依頼が増えてきました。共創コーチング®︎独自のメソッドを取り入れたセミナーも、定期的に開催しています。

けれども、コーチングを担当している方や、セミナーでお会いする方によく相談されるのは、「1on1ミーティングがうまくいかない」ということ。

上司が部下と二人で面談する時間を週に1回、きちんと設けているのに、なぜか部下の成長に繋がらない。思っていた効果が得られない。効果が出るどころか、かえって部下のモチベーションを下げてしまっているというケースもありました。

あるいは、みなさんの中にもそのような悩みを持っている方がいるかもしれません。

なぜ、1on1ミーティングが機能しないのか?

しばらく研究を続けてきましたが、うまくいかないケースには、共通点があることに気がつきました。

それは、「正しいステップを踏んでいない」ということなのです。

「問題児」と呼ばれていた少年が変わった理由

思えば、僕自身も、以前は失敗ばかりでした。

たとえば、23年前、僕が中学校の体育教師をしていたときのことです。
僕の生徒の中で、所謂「問題児」と呼ばれている男の子がいました。

警察沙汰になることもあり、本人も苦しそうに見えましたから、なんとか力になりたいと、僕は一生懸命、彼と話す機会を作りました。

理解してもらおうと精一杯語りかけるのですが、どうも響いている感じがありません。一時的には荒れた様子が見えなくなっても、すぐに元どおりになってしまう。

どうしたものか、と悩んでいたとき、コーチングの手法を知りました。ハッと、自分に足りなかったものに気づかされました。

それは、ひたすら自分の思いを訴えかけるだけになってしまっていた、ということです。
こうした方がいい、ああした方がいいとアドバイスばかりして、結局のところ、彼が彼自身と向き合う場を作ることは出来ていなかったのです。

1対1で向き合い、指導をする中で、自分の思いを伝えるのは非常に大切なことです。
けれども、相手の思いや考えをきちんと聞くということも、それと同じくらい重要なのです。

それ以降、僕は「相手の話を聞く」ということにフォーカスして、面談のやり方を変えてみました。

「今まで、どうしていくか、先生が決めちゃってたよな」

「……」

「これからどうしていきたい?」

「……」

「無理だったら、無理でいいよ」

彼の思いを知ろうと、耳を傾けました。そうして呼びかけを続けていくと、

「……治したい」

と、彼はようやく、本音を吐き出したのです。

そうなのです。
誰かを成長させたい、変えたい、と思ったとき、こちらからいくら「変われ」「成長しろ」と頭ごなしに訴え続けても、響かないのです。

人が本当に変わるのは、本人が「変わろう」と決意したときです。自分自身で決めないと、変化することも、成長することもできません。

「1on1ミーティング」を成功させるための4つのステップ

僕は、自分の失敗や、22年間のコーチング経験の中から、1on1ミーティングを成功させるには、4つのステップをクリアする必要があるのだと気がつきました。

【ステップ①】関係作り《コネクティング》

まずは、関係を作ること。いきなり面談と言っても、「評価に響くんじゃないか」と身構えでしまう人も多いでしょうから、相手に信頼してもらえる関係を構築しなければなりません。
とはいっても、難しく考える必要はありません。
ただ、面談の初めに、雑談をしたり、「最近どう?」と呼びかけてみるだけでも良いのです。
「受容」と「共感」の姿勢を持って、相手がアウトプットしやすい空気を整えます。

【ステップ②】気づきの場作り《インタビュー》

次は、いよいよ相手の話を「聞く」段階です。
ミーティングで話したいテーマについて、色々と質問をしていきます。
ここで重要なのは、評価や判断はできるだけ行わないこと。
インタビュアーになったつもりで、相手の考えを深掘りして聞いていきましょう。

【ステップ③】意見を掛け合わせる《クロッシング》

相手が自分の思いを吐き出したら、上司として感じたことを投げかけてみます。
部下の意見に対して、こちらの意見を掛け算するイメージです。視点を広げたり、新しい行動を誘発できるように、フィードバックや提案を行なっていきます。
ディスカッションで話がどんどん積みあがっていくと良いでしょう。

【ステップ④】意欲と行動づくり《エンパワメント》

最後は、今後に向けた、具体的な行動策定です。放っておくとやらないこともありますので、ここで行動を確認します。
そして、忘れてならないのが、相手の意欲を上げて終わることです。
上司が話し過ぎて部下が落ち込んで帰る場面をよく見かけます。落ち込んでいたりしたら、ぜひ相手を承認し、強みを伝え、「期待している」と声がけしてみてください。

 

以上が、1on1ミーティングを有効活用するための4つのステップです。
重要なのは、どのステップも疎かにせず、丁寧にこなしていくことです。

うまくいかないケースを見ていると、どれか一つ、あるいは二つ以上のステップを欠いてしまっていることがほとんどです。
そもそも関係性ができていないのに、いきなり説教を始めてしまう人もいれば、逆に、相手の話を聞きすぎ、共感ばかりして、肝心の指導は一切できなかったという人もいます。

僕が中学校の先生をしていたときの失敗も同じです。決定的に足りなかったのは、「ステップ②気付きの場作り」の論点でした。

ほとんどの人は、日々、不安を抱えながら働いているだろうと思います。けれども、なぜ不安なのか、何に対してモヤモヤしているのか、自分自身ですら気がついていない人も多い。自分の本音がわからないのです。
1on1ミーティングをする上での上司の役割は、相手の本音を引き出して、気付きを与えてあげることです。

「ああ、自分はこうしたかったんだ」という芯の部分を発見したとき、人は自ら「成長しよう」と決意し、前向きな行動をとれるようになるのではないでしょうか。

 

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