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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 陽子

【共創コーチング®コラム】部下を叱れない理由

すごいリーダーはなぜ部下を叱ることができるのか。

おはようございます。稲垣陽子です。

よく、部下をうまく叱ることができない、
あるいは褒めることができない、という相談をいただきます。

そんな時に、私は京セラの稲盛和夫さんの話を思い出します。
有名な話なのでご存知の方も多いかもしれません。

稲盛さんは1959年に京セラを設立した時、
「自分が開発したファインセラミックスという新技術を世に問う」
という理念を掲げていました。

しかし、設立3年目のある日、前年入社した高卒社員11名が要求書を突きつけてきました。
「ボーナスはいくらか、昇給は何%なのか」
保証をしてくれなければ会社を辞めると言い出したのです。

保証と言われても、出来たばかりの会社でそんなことは明言できない。
「私を信じてついてきてほしい」
と三日三晩話し合ったそうです。

結果、社員は納得し残ってくれたのですが、この体験で稲盛さんは大きなことに気づきます。

それは、自分の理念が間違っていたということです。

 

理念が明確なほど、褒めることも叱ることも楽になる

稲盛さんは鹿児島出身です。
鹿児島には両親や兄弟が住んでいました。
戦後の混乱の中、苦労して稲盛さんを育ててくれました。
稲盛さんを大学に行かせるためにお兄さんは大学進学も諦めました。

なので、会社が順調にいったら少しでも郷里の家族を楽にしてあげたいと思っていました。

でも、会社とはそうではない。
会社は公のものであり、働いている社員、そして社会に貢献をしていくものであると気づいたのです。

そこで、自分の技術を世に問うという技術屋のロマンを捨てて、理念を「全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、人類、社会の進歩発展に貢献すること」と変更しました。

それは決して希望あふれる理念として作られたのではなく、家族の面倒も見れないという失意を持ちつつ、でもこれが人として正しいことなのだという覚悟の中で導き出されたものだったのです。

でも、その理念に決めてから、部下を厳しく指導することに躊躇なくなったそうです。

自分の技術を世に問うという理念だった時は、若干の遠慮があったけれど、みんなの会社なんだと思うようになってからは、「みんなの会社じゃないか、頑張れよ」と言いづらいことも理念に向けて素直に言葉にできるようになりました。

つまり、理念が不明確だったり「自分のため」が少しでも入れば、感情や戸惑いが入り言葉や決断にもブレや迷いが生じます。

でも、理念が明確で人のためであれば、叱咤激励も決断にも大きな迷いは生まれにくい。

稲盛さんご自身も著書の中で、「自分に都合の良い、利己的な考え方の時はみんなが反発する。そうではなくて、みんなをよくしてあげたいという利他の心であればみんなが賛同する」と書いてありました。

 

どうでしょう。
叱れない、褒めれない、という人は焦点が自分に当たりすぎていることはないでしょうか。

何のために叱り、何に向かって褒めるのか。
利他の心で自分の理念を見つめ、昇華していくことで、叱ったり褒めたりすることが自然とできるようになるのかとも思いました。

では、今週も素敵な1週間になりますように。

 

参考図書:
盛和塾機関誌144号 他

 

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