おはようございます。稲垣陽子です。
Aさんは研究者。
メーカーの研究開発で新製品開発の管理職をしています。
管理職なので、Aさんの役割は部下が新製品の開発提案が出せるように促すことです。
しかし、「出せ」と言ってもなかなか出てきません。
どうしたら部下からもっと出てくるのか、はっぱをかけたり、コーチングで引き出そうとしますが、うまくいきません。
どうしたら部下から提案が出てくるのだろう・・・。
そもそも研究開発の醍醐味はまだ世にないものを提案し、開発することなのに、なぜやろうとしないのか・・・。
Aさんは、原点に戻りました。
志願して研究開発に来たということは研究や実験が好きなはず。能力もある。それを部下に思いっきり発揮してほしい。
でもまてよ。
その前に自分は思いっきり自分の力を発揮しているだろうか・・。
部下にしてみれば、自分なりに力を発揮しているので、思いっきり力を発揮するというのがどういうことなのか、その例を見せなければ新提案を「出せ」「出せ」と言っても何をしていいのか分からないのかもしれない。
そこでAさんは考えました。
自分にとって一番思いっきり発揮できる力とはなんだろうか?
出てきた答えは自らが「研究」「実験」することでした。
部下に思いっきり力を発揮してもらいたい、そのために、まずは自分が自分の中にある才能を思いっきり発揮する姿を見せる必要がある。
そう思い至ったAさんは、自らラボラトリーに行き、新提案のために実験を始めました。
実は、ずっと以前から自分が率先して実験をやったらいいのではないか、と思っていました。
でも、管理者である自分が実験を行うのは部下にとってはやりづらく、煙たがれるだろうと躊躇していたのです。
しかし実際に実験をしてみると、煙たがれることはありませんでした。それよりも、部下から声をかけられる頻度が多くなりました。社内の風通しもグンと良くなりました。
結果、実際に新提案が成功し特許を取るまでに至りましたし、部下も自然と新しい実験に積極的に取り組むようになったそうです。
自分自身の仕事への満足度・幸福度も高まったと話してくれました。
私たちの言動は様々な形で周りの人々に伝わります。
その中で、エビデンスはありませんが、私は才能は伝播すると思っています。
特に、自分の価値(本質)と結びついた才能はそれが発揮されるだけで、周りの人々を触発し動かします。
例えば、オリンピックなどで一流選手のすごいプレーを見たら、自分も同じスポーツをやりたくなる、とか、関係ないのに自分も頑張ろうと勇気が出てきた、なんてことはないでしょうか。
Aさんも躊躇せず、自分が作りたいビジョン(部下に力を発揮してもらう職場を作る)に向けて、才能を思いっきり発揮したことで、変化が起こりました。
特に、もし発揮したらと考えるとワクワクしたりドキドキしたりする才能は、自分自身の価値や本質に近いものである可能性があります。
その才能が自分の価値に基づいたものであれば、自然と情熱的になります。
その情熱に周りの人は感化されたり、触発されたりします。
自分なんて・・とか、もうその立場ではないから・・と遠慮せずに、考えるとワクワクしたり、ドキドキするような自分の才能を思いっきり発揮してみてください。
その後ろ姿に人がついてきます。
では、今週も素敵な1週間になりますように。
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