おはようございます。稲垣陽子です。
もし、あなたの部下が浮かない顔をして、
「ちょっと話を聞いてくださいよ・・・」
と、近づいてきたら、あなたはどうしますか?
「何があったの?」と切り出し、愚痴を聞くのが一般的でしょう。
週末、共創コーチ養成スクールを開催しましたが、
そこに参加してくれたAさんから、面白い話を聞きました。
彼女は、大手自動車メーカーの工場で働いています。
面倒見のいい彼女の周りには、しょっちゅう同僚たちが愚痴を言い
にやってきます。
「あいつが仕事をしない、あいつが反抗する」等、
不満や悩みを彼女に愚痴るそうです。
コーチングを学ぶ前は、「そうか、大変だよね」と同調し、親身に
聞いていました。
彼らたちは、ひとしきり話してすっきりすると、彼女の元を離れて
いったそうです。
そして、また不満がたまると彼女のところに来て愚痴を話す、その
繰り返しでした。
しかし、コーチングを学びだしてから、その関係が変わったそうです。
彼らたちが愚痴を話すと、彼女は自然と質問をするようになりました。
「その問題に対してどう関わっていきたい?」
「君はこの会社でこれからどうしていきたいの?」
すると、彼らたちの反応が変わってきたそうです。
・僕はこうしたい、と行動を言うようになった
・実際にやってみて、こうだったと報告に来るようになった
・自分自身の夢や未来について話すようになった
・仕事のやりがいの部分を話すようになった、
等、不満や怒りが減り、会話の中に小さな希望や喜びが見え隠れする
ようになりました。
結果、期間工から正社員を目指す人も出てきましたし、リーダーを目
指したいと話す人もでてきました。
たいてい人は会社や仕事に対して愚痴の一つや二つは持っていると思
います。
特に、仕事を一生懸命やっている人ほど、理不尽な現実に不満はたま
るでしょう。
そういう人の話を聞くとき、多くの場合は、「愚痴を聞き、なだめる」
ことをします。
その人がさぼりたくて言っている訳ではないことは知っていますし、
環境がその問題を引き起こしていることもよく知っています。
「大変だね、分かるよ、分かるよ」と、
優しく聞いてあげることはとても大切です。
でも、時には、愚痴を聞くだけではなく、もう一歩突っ込んで、
愚痴りたくなるくらいのこの環境から抜け出すために、
あなたにはどんな力があるのか、
あなたなら何ができるのか、
色々と視点を変えて聞いてあげることもできます。
そうすることで、目の前に起こっている問題を他責から自責へと捉え
るようになり、環境が変わることを待つのではなく、自分が変えられ
ることがあるのかもしれない、と思ったり、
その問題を引き起こす自分の課題や問題が見えてくるかもしれません。
それは、優しくされているだけでは気づけない、自分の中にある才能や
可能性に自ら光を当てるタイミングになることがあります。
その光は、人から励まされる喜び以上に、あなた自身を満たすものになっ
たりします。