おはようございます。稲垣友仁です。
ちょっと昔の話になりますが、私が尊敬する先輩で、会議中ずっとうつむいていて、どう見ても寝てるように見える方がいました。その先輩は、肝心な場面になると、決まって、突然起き上がり、核心をついた意見をズバッと言うのでした。
何人かの知人に、そのことを話すと、「そういう人、昔いたいた」と言います。
私が尊敬するアメリカ人の、あるトップコーチは、電話セッション中にテレビゲームをしながらコーチングをしていたそうです。
クライアントに聞くと、そのコーチはいつも核心をついた質問をしてくるそうですが、テレビゲームをしていたことには気づかなかったと言います。
そのコーチのクライアントはビジネスの第一線で活躍している人が多いと聞きます。
結果を出す方の中には、話はあまり集中して聞いていないのだけれども、核心をズバッとついてくる方がいます。
そういう方の影響力は絶大で、その方の一言で流れが変わり、集団が一気に鼓舞されたりします。
多くの方は、一生懸命頭を使い、全力で相手の話を聞いて考えて、相手にいろいろな意見を伝えますが、なかなか核心をつけません。
なぜ、冒頭のような人たちは、話に集中していないのに、核心をついた意見や質問を投げかけられるのでしょうか。
この答えは、コーチングの質問をクリエイトするコツと似てるように思います。
コーチングの質問をクリエイトするコツは、一言でいうと「無責任になる」
ことです。
この「無責任になる」というのは、本当に責任を取らないということではありません。責任を取らない位置で考えるということなのです。
コーチング初心者がよく起こす間違いで、相手の問題を自分の問題として解決しようとし、相手と一緒に悩んでしまい、冷静になれず、質問がでてこなくなってしまうことがあります。要するに相手の責任を取りすぎてしまうのです。
責任というものは私たちのクリエイティビティを邪魔するのです。
ちょっと他ごとをしているときや責任は自分にない時の方がクリエイティビティが発揮されやすいということはないでしょうか。
ある職場で、会議中だとアイデアが生まれないのに、たばこを吸う部屋での方がアイデアが生まれているという会社を、たくさん知っています。
あと休憩時間に誰かと自由に話した中にクリエイティブなアイデアが出たり、アメリカのどんどん伸びているIT系の会社で、意味のないおもちゃや遊び道具が置いてあったりするのも、無責任な環境下を意図的に創りだしているように思います。
ズバッとする、ハッとする意見は無責任な環境下で生まれやすい、ということを冒頭の方々は知っていて、会議中でも下を向いて目をつぶっていたり、コーチング中でもゲームしたりなど、その人に合った形で無責任な環境を作りだし、皆がびっくりするような意見をクリエイトしているのです。
このような無責任の形を意図的に作れる方が本物のプロフェッショナルと呼ばれているように思います。
このようなクリエイティビティな考えや意見を意図的な対話によって引き起こすのが共創コーチングの目指すところです。
良い共創コーチは、責任と無責任とのバランスをうまく行き来することができるのです。
なかなかそれが難しいのですが・・・。
次回3月28日29日から行われる共創コーチ養成基礎コースのコミュニケーションでは、そのような質問をクリエイトするトレーニングも行います。
興味のある方は、ぜひ一度お越しください。