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メルマガ「共創コーチング®」共創コーチ養成スクール稲垣 陽子

20メートルの会話

おはようございます。稲垣陽子です。

私の父は地域の小学校で「緑のおじさん」をしています。
小学校に通う児童の安全のために、交差点などで黄色い旗を持って誘導する人です。
実際に児童からとても人気があるらしく、子供たちがいろいろな話をしてくれるそうです。

でも、ちょっと不思議に思いました。
歩いている子供たちとそんなにたくさん話ができる訳はないですよね。
交差点に信号があって待ち時間があるのかな、と思って聞いてみると、そうではありませんでした。

交差点の手前には曲がり角があって、父は交差点で児童を待っているのではなく、手前の曲がり角で児童を待っているそうです。
そして、曲がり角から交差点までの約20メートルを、一緒に子供たちと歩いている、とのことでした。

その20メートルの中で、他愛もないことを話するそうです。

「学芸会でどんな役をするの?」
「運動会、頑張ってたね」「今日も塾なの?」
そうすると子どもも、
「塾の成績が上がったんだ」
「本当は走るの嫌いなんだ」などと、話をするらしいです。

それだけで、父は子どものハートをつかんでいるようです。
実際、子どもが手紙をくれたり、知らないお母さんからも挨拶されるなどがあるらしいので・・・。

コーチングの講演などでよく
「コミュニケーションが苦手です」という質問を受けます。
何を話していいのか分からない、自分から話しかけづらい、というのがあります。
そう言う場合は、他愛もない会話が自然と生まれる状況を作ってみましょう。
例えば、
・忙しくていつもバラバラに食べていた朝ご飯を、一緒に食べる
・自分より10メートル先を歩いている同僚に追いついて挨拶を交わす
・あるいは、自分より後ろを歩いている同僚を待って一緒に行く
・トイレのタイミングをわざと一緒にする
・いつもより早く到着してみんなを出迎える
・メールで済ませるところを電話してみる(直接話す)

つまり、大それたことをしなくてもいいのです。

コミュニケーションが苦手という方は、会話が盛り上がる為には条件を整えなければいけないと思っているように感じます。それが逆に話すタイミングを逃し、会話を重くさせます。

特別な場や面白い出来事がなくても構いません。
日常のリズムの中に、ちょっと違う流れを作りだすだけで、会話は自然と生まれてきます。
たとえ生まれてこなくても、一緒にいる感覚を味わうだけでも違う気持ちになるものです。

20メートルを子ども達と話すのが楽しくて、何往復もしている父の姿が想像できます。
近づく距離はたった20メートル。皆さんなりの「20メートル」もきっとあるはず。
良かったら探して、試してみてくださいね。

愛のムチ
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