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メルマガ「共創コーチング®」共創コーチ養成スクール稲垣 友仁

主体性を引き出す2 リラックスして現状を把握する

私が中学校の教師をしていた頃の大先輩で、ハンドボール部顧問の体育教師がいました。
彼は県大会で優勝するのは当たり前で、とても指導力のある方でした。
彼が育てた国体選手は多数いますし、学校全体を変えていく力のある方でした。

ある時、彼の体育の授業風景を見る瞬間が来て驚きました。

彼の体育の授業では、とても生徒が活発に活動し、イキイキした姿で声をだしながらチームを意識した動きをしています。
とてもピリッとした雰囲気で授業が進んでいます。

でも、一番驚いたのは、彼はその様子を見ながら寝そべって指示をだしていたことです。

「え~!先生が寝てていいの?」みたいな驚きでした。
20年前ほど前のことなので、今は出来ないでしょうが・・・。

しかし、肝心なポイントになると彼は起き上がり、スタスタと出て行って、何か話しています。
その後は、体育館のステージにまた寝そべって生徒が動くのを見てました。

僕はその向かいで授業をしていたのですが、一生懸命、1から10まで説明しながら生徒よりも僕が一番動き回っている状態でした。

この場面を見て気づいたのが、「自分は提供しすぎている」ということでした。

そういう自分に気づいてから、指示を3分の1ぐらいに減らしました。
それこそ、ある程度指示したら生徒の動きを見るために止まっていました。
そうすると生徒の様子がとてもよくわかりました。
生徒も何か考えて動いているのです。
その行動に対して指示をすることで相手も納得するし、スキルアップしていくというコツをつかみました。

それまでは、こちらで何かを提供しなければいけないというある意味強迫観念のようなものに突き動かされて、生徒の様子を見ず、自分の想い通りの行動をさせたいがために、相手にあてはまらない指示を出しまくっていた自分に気づきました。

生徒が自ら伸びていこうとする力を信頼して、まずはリラックスして状況を把握することも自分自身の仕事なのだと気付いたのを思い出します。

ここでのポイントは

・提供しすぎない
・相手の動きを使う
・リラックスして現状を把握する
・ポイントを突く

です。

コーチでもリーダーでも指導者でも親でも、次の展開をどうしたらいいか?という所に意識がいきがちになります。
結果を出しているリーダーは、相手の状況を捉えることがとてもうまいです。その人たちは「今」をとても鋭く捉えています。
そういう自分自身の感性をとても信頼しています。

今週はリラックスして状況を把握することに注意を向けてみて下さい。「次に何をするか?」ということは、とりあえず脇に置いて、現状を見て、そこから湧き上がってきたことを次につなげてみましょう。

不穏な空気を斬る
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興味に対する2つの視点