おはようございます、稲垣陽子です。
コーチングを受けたとき、あるいは誰かに悩みを相談したとき。
あなたが本当に手にしたいものは――「安心」ですか? それとも「勇気」ですか?
コーチングには、大きく分けて二つのスタイルがあると私は感じています。
ひとつは、「安心が手に入るコーチング」。
もうひとつは、「勇気が湧き起こるコーチング」です。
「安心が手に入るコーチング」は、スキルやフレームワークを活用して、
クライアントの話を整理し、答えを内側から“引き出して”いくスタイルです。
「型」があるので対話はスムーズで理路整然とし、
行動計画も立てやすく、結果も見えやすいです。
そして何より、「コーチがいてくれるから大丈夫」という
安心感をクライアントにもたらします。
その安心感が行動の動機になることもありますし、
コーチとの約束が背中を押してくれることもあります。
ただ、これが行き過ぎると――「コーチがいないと進めない」といった、
依存が生まれることもあります。
一方、「勇気が湧き起こるコーチング」はコーチがスキルで導くというよりも、
コーチのマインドセットをもって、クライアントと“場”をつくりながら
対話を重ねていくスタイルです。
「マインドセット」とは、言い換えるなら、
目には見えない“コーチのあり方”のこと。
コーチは、ふたりの間に“見えない場”があることを意識し、
そこに心理的安全性や対等性を生み出すよう働きかけます。
そして「今ここ」の感覚を大切にしながら、
クライアントと共に言葉にならない思いや気づきを「場」の中に持ち込んでいきます。
よって、対話はスムーズにいくとは限りません。
「今ここ」の感覚を大切にするので、
ときには「なんだかうまく言葉にできない」「正解が見えない」ような、
“整っていない時間”が生まれることもあります。
ある意味「ダサカッコ悪い」コーチングになります。
でも、それが、クライアントの本当の思い
――まだ名前のついていない“やってみたい気持ち”や、
“もしかしたらできるかもしれない”という内なる声を呼び起こすプロセスになります。
そしてその時、クライアントの中には
「これが、自分のやりたいことだったんだ!」という衝動が芽生えます。
それはコーチがいるからとか、誰に言われたからではなく、
自分が自分の人生を動かしていくんだといった、
自分の使命に突き動かされるような勇気が沸き起こってきます。
人によっては「何だかちょっと怖いけれど、ワクワクする」
という”怖ワクワク”の瞬間にもなるでしょう。
共創コーチングはまさに、この「勇気が出るコーチング」を目指しています。
もちろん、最初のうちはスキルやフレームワークなどの「型」も大切です。
けれど、その「型」を土台にして、やがては“場”を立ち上げ、
勇気を生み出す対話へと進んでいく――それが共創コーチングのあり方です。
この対話ができるようになると、寄り添うだけではない、
もっとダイナミックで、より深く、濃いつながりが生まれていくはずです。
そこで、今週のおすすめは…
「今ここ」を意識すること。
目の前の人と話しているとき、ふと感じたことを、
その場で一言、言葉にしてみてください。
きっと、そこから何かが“立ち上がって”くるはずです。
今週も素敵な1週間になりますように。
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