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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 陽子

【共創コーチング®︎コラム】やると決めたことがやれない理由

おはようございます、稲垣陽子です。

クライアントのAさんは、部下マネジメントをテーマにコーチングを受けていました。

ある日のセッションで、Aさんは行動目標として「部下に1日1回感謝を伝える」を掲げました。
それはAさんにとってはハードルの高いことではありましたが、
やると決めた時は、自分には必要だとやる気に満ちているように見受けられました。

ところが、次のセッションでは様子が一変。
「やろうと思ったけれど、うまくできなかった」と、
声のトーンは沈んで落ち込んでいる印象でした。

一体、Aさんに何が起こったのでしょうか?

そこで、私は実際の状況を聞いてみることにしました。

  • 実際に誰にどのタイミングでやろうとしたのか?
  • どんな言葉をかけようと思ったのか?
  • 事実、チャンスは何回あったのか?
  • やろうと思った時に躊躇したのは、何が起こったのか?(行動・感情)

事実を淡々と聞いていきました。

その結果、重大なことがわかりました。

Aさんは「やろうと思ったけれど、うまくできなかった」のではなく——
「そもそもやろうと思っていなかった」ことに、自分で気づいたのです!

確かに、Aさんは前回のセッションではやりたいし、
やったほうがいいだろうと思っていました。
でも、「絶対にやるぞ!」「どうしてもやりたい」
とまでは思ってはいなかったんだということに気がついたのでした。

「タイミングが合えばやってもいいかな」
「相手も、自分も機嫌がよければ言えるかも」

そんなふうに、どこか”条件付き”で考えていたのです。

これは、例えるなら——

天気予報で1週間ずっと「雨」と予報が出ている中で
「晴れたら洗濯しよう」と思っていることと同じです。

つまり、晴れたら洗濯するけれど、雨なら洗濯しない、
今週は雨が続くから洗濯しないと思っていることになります。
雨でも乾燥機を使うとか、部屋干しをするなど、洗濯しようと思えば洗濯できるのに、
「晴れるまで洗濯しない」と決めているとも言えます。

では、なぜAさんは“洗濯しない”ことを選んだのでしょう?

私にはそれくらい、Aさんにとって「感謝を伝える」という行為が、
高いハードルだと感じていることがわかります。
ハードルだと思っていたら、それを前に動きが鈍くなるのは当然です。
だからこそ、向き合うべきは「自分のハードル」です。
ハードルの正体を理解し、それが気にならなくなる状態を作る必要があります。

相手も天気も変えることはできません。

ハードルを超える自分になりたいかどうか、それは自分で選ぶことができます。
やると決めた行動ができなかった時、
自分を責めるのではなく、まずはそっと問いかけてみてください。

「ハードルだと感じるくらい、自分が守ろうとしている「自分」とは何か?」
「自分がどうなってしまうことを恐れているか?」
「(相手に関係なく)このハードルを超えたらどんな自分が待っているかな?」

この問いには、相手も天気も関係ありません。
この問いが、やりたいことを実現させるヒントになるかもしれません。

では、今週も素敵な1日をお過ごしくださいね。

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