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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】グループコーチングを使う

おはようございます。共創コーチングの稲垣友仁です。

「この春から新しいチームができた」、
「異動で新しいメンバーと関わるようになった」、
そんな声をたくさん聞く季節です。

コーチングを学んでいる方の中には、「1on1は少しずつ実践できるようになってきたけれど、
実際の現場はグループに対してなので、グループに使えないのか」と言う要望の声もよく聞きます。

そんな方にお伝えしたいのが「グループコーチング」という手法です。

1on1コーチングが「個に深く潜る旅」だとすれば、
グループコーチングは「集団で風を起こす旅」だと僕は思っています。

個々の気づきや問いが、他のメンバーの心を揺らし、
その揺れがまた新たな問いを波紋のように生み出されていく。

そんな共鳴の連鎖が、グループの中で起こる瞬間をグループコーチングではよく体験します。
それは、1on1では味わえないような、グループのダイナミズムです。

■グループコーチングとは?

グループコーチングとは、簡単にいえば、
複数人が「同じ場」に集い、それぞれがテーマを持ち寄りながら、
互いの問いやフィードバックによって思考や気づきを深めていくプロセスです。

基本は、グループの中で1対1のコーチングを行なっていくのですが、
その様子を周りが見て、気づきが伝播していくようにコーチは進めていきます。

コーチは、コーチングを行うだけではなく、
見ている参加者からも問いを投げかけてもらったり、
フィードバックをしてもらったりなど、
ファシリテートの技術も使って周りを巻き込んでいくのがグループコーチングの特徴です。

そんなふうにグループコーチングを進めていくと、
「グループダイナミクス(集団の力学)」が働きだしてきます。
コーチはそれも計算に入れて進めていくことが大きな特徴になるかと思います。

■グループだからこそ起こること

グループダイナミクスが起き出すと、一人で考えているときには気づかなかったことに、
「はっ」と気づく瞬間が多くなります。

誰かの言葉が、「まるで自分に言われているように」感じる共鳴が起こったり、
あるいは、自分の言葉がグループの中で波紋のように広がっていく、そんな体験が起こります。

これは、安全で信頼のある場だからこそ生まれるものであり、
そこに「学びの化学反応」が起こります。

■日常の中に活かすグループコーチングの視点

このグループコーチングの手法は、コーチングの場だけでなく、
日常のあらゆる場面で活かすことができます。
というか、経験している方も多いように思います。

たとえば:

  • 職場における会議の中で「問い」を共有してみる
    →担当者の発表に対して、コーチング的質問を投げかけ、他の参加者にも意見を
    聞いてみることで、いろいろな気づきが波紋のように生まれることがあります。
    例)原因ってどう考えてる?、他の人はこのやり取りを見て何を感じた?
  • チームでの振り返りの時間に、「何を感じたか」「どんな問いが残っているか」を共有する
    →取り組みや会議における自分の振り返りをメタ認知させることで、
    振り返り思考が高い人の姿勢が触発され、チーム全体の振り返り思考が高まっていきます。
    例)全員で振り返りを一言ずつ言っていこうか、同じように感じた人は?
  • 家庭や学校で、子どもやパートナーと「一緒に考える場」をつくる
    →正解を教えるのではなく、一緒に問いを深めることが信頼と成長につながります。
    例)将来、どんなふうに過ごしていたら幸せだと思う?(将来の進路)。
    家族(二人)でどんな思い出を作りたい?(家族旅行)。
    どんなクラスになると嬉しい?(学級目標)。

「答えはその人の中にある」とよく言います。
でも、グループで問い合うとき、
答えは“その人と誰かのあいだ”にふっと現れることがあります。
グループコーチングとは、その“あいだ”を丁寧に紡ぎ、
見えない気づきを言葉にしていく営みでもあるのです。

人は問い合うことで、思考が深まり、行動が変わります。

そして、他者の存在があることで、
自分では見えなかった領域にまで踏み込むことができます。

グループコーチングは、グループの力をうまく使って
一人一人の気づきや成長を支援するアプローチなのです。

ぜひ、この視点を日常にも取り入れてみてください。

難しいことは考えず、「みんなはどう思う?」「これってどうしてこうなるの?」と、
問いをメンバーに振ることから始めていくといいかと思います。
それが自然と対話になっていき、何かに気づくことにつながり、周りにも伝播していく。

心理的安全性がグループにあれば、誰かの問いは対話を生み出し、
グループダイナミクスにつながっていくと思います。

稲垣友仁

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