おはようございます。共創コーチングの稲垣友仁です。
「この春から新しいチームができた」、
「異動で新しいメンバーと関わるようになった」、
そんな声をたくさん聞く季節です。
コーチングを学んでいる方の中には、「1on1は少しずつ実践できるようになってきたけれど、
実際の現場はグループに対してなので、グループに使えないのか」と言う要望の声もよく聞きます。
そんな方にお伝えしたいのが「グループコーチング」という手法です。
1on1コーチングが「個に深く潜る旅」だとすれば、
グループコーチングは「集団で風を起こす旅」だと僕は思っています。
個々の気づきや問いが、他のメンバーの心を揺らし、
その揺れがまた新たな問いを波紋のように生み出されていく。
そんな共鳴の連鎖が、グループの中で起こる瞬間をグループコーチングではよく体験します。
それは、1on1では味わえないような、グループのダイナミズムです。
グループコーチングとは、簡単にいえば、
複数人が「同じ場」に集い、それぞれがテーマを持ち寄りながら、
互いの問いやフィードバックによって思考や気づきを深めていくプロセスです。
基本は、グループの中で1対1のコーチングを行なっていくのですが、
その様子を周りが見て、気づきが伝播していくようにコーチは進めていきます。
コーチは、コーチングを行うだけではなく、
見ている参加者からも問いを投げかけてもらったり、
フィードバックをしてもらったりなど、
ファシリテートの技術も使って周りを巻き込んでいくのがグループコーチングの特徴です。
そんなふうにグループコーチングを進めていくと、
「グループダイナミクス(集団の力学)」が働きだしてきます。
コーチはそれも計算に入れて進めていくことが大きな特徴になるかと思います。
グループダイナミクスが起き出すと、一人で考えているときには気づかなかったことに、
「はっ」と気づく瞬間が多くなります。
誰かの言葉が、「まるで自分に言われているように」感じる共鳴が起こったり、
あるいは、自分の言葉がグループの中で波紋のように広がっていく、そんな体験が起こります。
これは、安全で信頼のある場だからこそ生まれるものであり、
そこに「学びの化学反応」が起こります。
このグループコーチングの手法は、コーチングの場だけでなく、
日常のあらゆる場面で活かすことができます。
というか、経験している方も多いように思います。
たとえば:
「答えはその人の中にある」とよく言います。
でも、グループで問い合うとき、
答えは“その人と誰かのあいだ”にふっと現れることがあります。
グループコーチングとは、その“あいだ”を丁寧に紡ぎ、
見えない気づきを言葉にしていく営みでもあるのです。
人は問い合うことで、思考が深まり、行動が変わります。
そして、他者の存在があることで、
自分では見えなかった領域にまで踏み込むことができます。
グループコーチングは、グループの力をうまく使って
一人一人の気づきや成長を支援するアプローチなのです。
ぜひ、この視点を日常にも取り入れてみてください。
難しいことは考えず、「みんなはどう思う?」「これってどうしてこうなるの?」と、
問いをメンバーに振ることから始めていくといいかと思います。
それが自然と対話になっていき、何かに気づくことにつながり、周りにも伝播していく。
心理的安全性がグループにあれば、誰かの問いは対話を生み出し、
グループダイナミクスにつながっていくと思います。
稲垣友仁
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