おはようございます。稲垣陽子です。
今日は企業コーチングでの体験談をお伝えします。
A社長には右腕となるB取締役がいました。役職は違えども、会社は二人が切り盛りをして大きくしてきました。
会社の初期の頃は信頼関係も厚く、二人の関係はうまくいっていました。
しかし、月日が流れる中で、業務の役割が分担されるようになると、お互いの領域については関与しなくなり、会話が少なくなりました。そしてなんとなく関係がギクシャクするようになってきました。
A社長もB取締役もそのことについて気づいていましたが、お互いにどうしていいのかわかりませんでした。
コーチングを通して、二人はもっと話した方がいいとなりましたが、今更何を話せばいいのか、よくわかりません。
そこで、私も入り、私、A社長、B取締役の2対1の面談を行うことになりました。
二人はこちらが促すとどんどん話をしていきます。相手へのリクエスト、自分の思いなど、お互いに相手へ伝えたいことはたくさんあることがよくわかりました。
でも、一つだけ、二人に共通して欠けていたことがあったのです。
なんだと思いますか?
それは、「相手の話を聞きたいとは思っていない」ことです。
どちらも「相手に話を聞いてもらいたい」とは思っていました。でも、「相手の話を聞きたい」とは思っていなかったのです。
二人とも人の話を聞かない傍若無人タイプなのかというとそういう訳ではありません。実際に部下の話はとてもよく聞いています。
でも、相棒のようにやってきたお互いに対しては、「自分の話を聞いて欲しい」と思っていたのです。
お互いにそう思っていたので、二人の関係はうまくいかないですよね。
「きちんと聞かない」「すぐに反発する」などの状況が続き、なんとなく疎遠になってしまったというのが現状でした。
これは、企業のリーダーだけではなく、夫婦など近しい関係でもよく起こることでしょう。
例えば、子どもの話は聞けるけど、パートナーの話は聞けないという夫婦も多いのではないでしょうか。
なぜなら、パートナーの話を聞くよりも、聞いてもらいたいと思っているから。
このように胸襟を分かち合っているからこそ、相手の話を聞けない。なぜなら、聞いて受け入れることよりも、自分の意見を聞いて欲しい、わかって欲しい、そして、自分の思ったように動いて欲しい、と期待しているからです。
どちらが先に相手の話を聞く人になるのか。
まずは、あなたから本気で身近な人の話を聞く人になってみませんか。
目の前の人が日々何を思い、何を感じて生きているのか、自分に何を求めているのか相手の言葉を聞いてみましょう。
きっとこう思っているだろう「予測」や、相手への「期待」「判断」を脇に置き、受容し、共感しながら「新鮮な気持ち」で話を聞くことから始めてみませんか。
今週も素敵な1週間になりますように。
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