おはようございます、稲垣友仁です。
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何人かの子どもに効果があるからと言って、全員に押し付ける教育を続けていくのはもう止めましょう。
そして、誰一人置き去りをしない教育をみんなで目指しませんか。
横浜創英中学・高等学校 校長 工藤勇一氏Facebookより
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上記は、麹町中学校の前校長で、子どもの自律を重視した教育改革に取り組み、宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制廃止など、従来「当たり前」とされてきたことを覆し教育成果を上げている工藤勇一先生の言葉です。
現在は、定年退職後、横浜創英中学・高等学校の校長をされています。
教育の現場(学校、会社)では、いろいろな場面で教育効果が検証されていない教育方法を強制的に強いられるということが起こっています。
これから話す話は、例えばの話で、多くの教育関係者はそれではないと認識しています。
例えば、
学習塾で、有名、超難関●●高校、●●人合格など、その塾の成果が窓ガラスに貼られています。
成果は事実ですし、素晴らしい学習環境を作っていることと思います。
しかし、何人かの生徒を有名高校にいかせることができたからと言って、そのメソッドが万人の生徒に対して正しい方法でしょうか?
多分、学力を高く出せる生徒には良かった方法でも、学力が低い生徒にそれを適応してうまく行くとは限りません。
結果を出す優秀な教員は、相手のレベルに合わせてアプローチを変えていることが多いですし、本当に結果を出す塾は、生徒と個別に対応をし本人の理想に近づくように支援しています。
よくある残念な実践として、そのメソッドが正しく、そのメソッドに対応できない生徒が悪者扱いされます。
そのメソッドに合わないからと言って、その子どもが悪いのでしょうか?努力が足りないのでしょうか?
きっとそういう部分もあるとは思いますが、親としては、それもひっくるめて、その子どもに合った方法で関わって欲しいと願います。
後、これもよくあるパターンですが、有名大学を出した親の体験談を掲載している書籍などもよくみますが、その親とその子どものマッチングではそうだったでしょうが、違うパターンの人にハマるかどうかはこれまた別問題ですよね。
ハーバード大学に行かせたから、シリコンバレーで流行っているから、その方法が正解なのでしょうか?
教育効果が高い可能性があるかもしれませんが、目の前の子どもに合った方法かどうかはやってみないとわからない。
落ち着いて考えてみたら誰でもわかることだと思います。
レベルの高い人が成果がでた方法、もしくは誰かがうまく行った方法を、違う相手に当てはめようとする。
トライするのは構わないと思うのですが、それがはまらないのを相手のせいにして、相手には自分はできない落第生だと思わせてしまうようなことが、この世ではいろいろな教育場面で起こっています。
これは、学校教育だけではなく、大人の教育場面でも同じです。
では、どうしたらいいのか?
それが、前回からお伝えしているアダプティブラーニングの取り組み・考え方です。
アダプティブラーニングとは、学習者一人ひとりの学習進度や習熟状況に合わせてコンテンツや学習方法を提供すること、
これまでも習熟度別クラスなどはあリましたが、AIによって生徒の学習進捗や習熟度を分析し、一人ひとりに適した学習内容を提供することができるようにアダプティブラーニングは個別最適化を目指します。
アダプティブラーニングでは、学習者の状況を分析し、最適な課題を設定する学習法です。
アダプティブラーニングで有名なknewton社のビデオがあります。アダプティブラーニングのイメージとしてはわかりやすいので紹介します。
「Newton:one on one for everyone」
→ https://mshn.jp/r/?id=11c9079&
アダプティブラーニングは、教育業界におけるIT技術の活用が進むとともに、注目され始めた新しい学習方法です。
文部科学省によると、人材育成における効果的な学習法のひとつとして、今後すぐにでも着手すべき課題の1つとしてアダプティブ・ラーニングの推進が挙げられています。
たくさんのデーターから目の前の人に最適な方法論を提案することで、学習効率、学習成果を上げる。
IT技術の発展により、相手に応じて個別最適化することは教育の基本となってきており、学習塾などでは積極的に取り入れて、現在いろいろな角度から研究されています。
しかし、所詮相手は機械です。機械に何ができるのかと懐疑的な方もいるかもしれませんし、たくさんのデーターをもとにやったとしても、データーは平均値です。目の前の子どもは人間です。
ですので、この取り組みには人間が介在していくことは欠かせないと思っています。
アダプティブラーニングとは少しずれる部分がありますが、スイスの総合大学で行われた研究実験では、オンライン授業はもともと学力の高い学生は成績が上がるが、低い生徒は下がるという結果が出ています。
下がる部分は、機械には支援できない人間の支援が必要なところではないかと思っています。
最終的にはITに人間の力も掛け算して、機械と人間の共創で教育を進めていくことで限りなくアダプティブな方向を目指すことが何よりも大切なのではないかと思います。
将来的には、現在塾で流行り始めているように、生徒の学習はAIを使った動画で個別に学習を行い、教師は教えるのではなく、一人ひとりをサポートする役割に移行していく未来はすぐそこにきていると思います。
とはいえ、別にAIを使った教育を今後はどこでも行ってくださいということを言いたいのではなく、教育を行う人に求めたいのは
「目の前の人に最適な学習方法は何か?」
という問いを常に持ちながら行って欲しいということです。
そのためにも全体指導では、効果がある学習方法を使い、微調整として個別にアプローチしていく。
そのような流れをデザインとして組み入れていく努力をして欲しいと思います。
こうなると学級集団で学習する意味というのが問われてくると思いますが、実は集団に属することで人間の大切な部分が育っていることもいろいろな研究結果でわかってきています。
その部分を取り入れて学級経営やグループ指導を行っている人が少ないのが現在の課題ではないかと思っているのですが、その話はまた次回行いたいと思います。
参考文献:
●Distance learning in higher education:
Maria Paula Cacault, Christian Hildebrand,
Jeremy Laurent-Lucchetti,
Michele Pellizzari 2019
https://mshn.jp/r/?id=11c9179&
●knewton社
https://mshn.jp/r/?id=11c9279&
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