おはようございます。稲垣陽子です。
私は仕事柄、今まで色々な人の「涙」に遭遇してきました。
悔し涙、悲しみ涙、嬉し涙、寂しい涙、怒りの涙、感動の涙・・など、分かりやすい涙もあれば、何の涙なのか定義しづらい感情の爆発のような涙など、色々あります。
どんな涙であれ、特に、リーダーの方が見せる涙は見ている私の心にも響くものがあります。
10年以上前の話ですが、コンサルタントの方と共同である企業のコーチング研修を行ったことがありました。
研修終了後、社長とコンサルの方と私と3人で談話をしました。
コンサルの方はかなり厳しくて、職場のだめなところや、受講した社員の弱い部分を社長に指摘します。
しかし、私にはその一面が全てとは思えず、社員には厳しい環境の中でも諦めずに取り組む姿勢があることや、会社への忠誠心が感じられたことなどを伝えました。
すると、社長が突然、うわっとボロボロと涙を流して泣き出したのです。
その涙にはどんな思いがあったのでしょうか?
おそらく、ですが、伝えたい思いがあるけれど、うまく伝わらない苦しさや、どんどん社員と溝ができ、孤軍奮闘しなければいけない焦り、そして、大事な社員を褒めてもらえた喜びと安堵感・・・。
そんな様々な思いが涙となって現れたのではないか、と推測します。
涙のワケは分かりませんが、その姿はとても真摯なものであり、私の心を打ちました。
そして、この姿を見たらきっと社員は心を動かされるのではないか、と思ったのでした。
そこで、社長に「社員の前で泣くことはありますか?」と聞いてみたところ、「会社で泣いたのは初めてだ」と答えてくれました。
私が目にした泣いてる社長のお姿は、おそらく普段社員には見せてはいない姿なのでしょう。
実際に、泣く姿なんてみっともない、弱い人と思われて信頼されなくなる、そう捉えるリーダーもたくさんいます。
なので、リーダーは泣けとは言いませんが、感情の爆発のような涙や言動は人の心を確かに打ち、言葉以上に何かを伝えることができるのではと思います。
私たちは理性と感性の中で生きています。
どちらが大事、ではなく、優れたリーダーほど、この二つのバランスを上手に扱っているのではないかと個人的には思います。
特にこの感性を社会の中で上手に使える人は、人生を豊かにすることができるのではないでしょうか。
アーノルド・ベネット氏の著作「自分は自分」でうまくいく~最強の生き方のなかに、こんな一節があります。
「人生を心から楽しむには、自分の本能を満足させなければならない。
人は時に理性的だが、どんなときでも本能的だ。
人には、生まれつき一人ひとり異なる才能があり、それは一生僕たちを揺さぶり続ける。
理性が歩兵なら、本能は戦車といったところだろうか」
もちろん、社会の中では毎日戦車のように感性を剥き出しにして生きてはいけませんが、どちらも大事にして生きることは悪くはないと思います。
今週はぜひ理性も感性もどちらも大事に、バランス良くお過ごしください。
参考文献
「自分は自分」でうまくいく~最強の生き方
How to make the best life
著:アーノルド・ベネット 訳:増田沙奈 興陽館
https://mshn.jp/r/?id=11ash79&
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