私がコーチングの世界に入ったのが1997年10月。
現在、日本にコーチングを伝えた第一人者と呼ばれている伊藤守さんという方に誘われました。
「おい、稲垣。今度、アメリカからコーチングというのを導入するんだけど、教育には絶対いいし、お前にも合うから、来いよ」
と言われ、東京まで受講しに行きました。それから23年経った今、当時、公立中学校の教師だった自分が、まさか教育分野においてコーチングを伝えるコーチになるなんて思ってもいませんでした。
日本にそのように伝わってきたコーチングですが、この23年で捉え方が変わってきており、現在では第三世代と呼ばれる段階まで来ています。
「The art of dialogue in coaching(コーチングにおけるダイアローグ)」で著者の心理学者、Reinhard Stelter博士によると、
「クライアントの目標達成志向のコーチング」というのが最初の第一世代の捉え方、
第二世代は、「システミックな組織開発に向けたコーチング」
そして現在、コーチングは第三世代に入っているとしており、第三世代は、「協働して振り返るパートナーとしての機能」を果たすもの「共に作り出す」という意味がハイライトされてきているということです。
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第三世代コーチングになると、コーチングによる対話は「協働して振り返るパートナーとしての機能」を果たすものとなり、ここでの目的は対話によって両者に振り返ることを促進すること。コーチの大きな役割は、相手の個人的・社会的意味を明確化するプロセスを共に作ることであり、振り返る範囲を広げ、自己認識を高めることによって、過去、現在の出来事の中に一貫性を見出し、それを将来に繋げることにあります。(※平野氏訳)
JCAコーチングニュース Vo.213 より
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先ほど、一番最初に出てきた伊藤守さんが定期的に発行しているメルマガを拝見した時に、
「現実はいつも対話から生まれる」の著者で社会構成主義のガーゲンさんに、
「Coach is for the changing future」
と、コーチを紹介されたというエピソードが書かれていました。
日本語に訳すと、
「コーチは変化する未来へ向けたエージェントである」
と言うことです。
単なる目標達成の支援者から、新しい考え方、イノベーション、もしくは文化までも、新しい未来を一緒に創りだす可能性を秘めたパートナーとして、コーチは存在する。
そう考えると、本当に尊い仕事に関わらせていただいていると改めて思いますし、今、本当に、このような時代だからこそ必要な存在になっていきたいと改めて思います。
参考文献:
●「現実はいつも対話から生まれる」 ケネス・J・ガーゲン (著),
メアリー・ガーゲン (著), 伊藤 守 (監修, 翻訳), 二宮 美樹 (翻訳) ディスカバー
●「itoh.com News」Vo.946 「長生きしようよ」
●JCAコーチングニュース Vo.213 平野圭子氏 より 「第三世代のコーチング」
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