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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®コラム】生産性の高いチームはこう作る! グーグルが見つけた「心理的安全性」 を人材育成に生かす具体的な方法

おはようございます。稲垣友仁です。

前回に引き続き、米グーグル社が発見した、生産性の高いチーム作りのポイント「心理的安全性」について、お話ししていきたいと思います。

「こう思われたらどうしよう」「失敗したら嫌だな」など、不安や恐怖を抱くことなく、本来の自分をさらけ出せる状態や雰囲気のことを、「心理的安全性」と呼ぶ、ということを解説いたしました。

今回は、実践編です。
もしも、チームのマネジメントをする立場になったら、どのような行動をすれば、心理的安全性の高いチームを創れるのでしょうか。

まずは、僕自身の体験談からスタートしましょう。

負けても悔しがらない弱小チーム

僕は、中学校の教師時代、サッカー部の顧問を務めていました。
いわゆる「監督」というポジションでした。メンバー全員の動きをよく見て、試合では適宜、指示を出すなど、全体把握能力が求められる仕事でした。

やり甲斐があり、面白い仕事ではあったのですが、子どもたちと触れ合う中で「どうも難しいな」と思うことがありました。それは、本人たちに「自主性」を持ってもらうことでした。

何しろ最初のうち、本気で取り組んでいたのは、監督である僕だけだったのです。

当時、僕が指導していたサッカーチームは弱かったので、試合に負けても悔しがるメンバーは誰もいませんでした。「くっそー!」と悲しむのは大人である僕だけ。肝心の選手たちは我関せずといった感じです。

当事者意識を持ってもらい、ひとりひとりに能動的に動いてもらえるようになるまで、結構時間がかかったと記憶しています。

突破口が開けたきっかけは、選手のうちのひとりが、悔し泣きをしたことでした。それまでは、「悔しくて泣く」なんて誰もしたことがなかったのですが、ある試合で負け、それでひとりが泣いた瞬間に、チーム全体の空気がガラッと変わったのです。

そのあとは、僕があれこれ口出しをしなくても、生徒たち同士で「じゃあこうしたらどうか」「次はこれをやってみよう」と、「自分ごと」としてチームの未来を考えるようになったのでした。

メンバーひとりの自己開示で空気が変わる

心理的安全性の高いチームを作るための第一歩。
それは、「自己開示」することだと思っています。

自分の感情や、メンバーに言えていなかった本音をぶつけてみる。そこから全体が動いていく場面を、教師として指導する中で、コーチングの仕事をする中で、度々見てきました。

「心理的安全性」を発見したプロジェクトについての分析記事(講談社『現代ビジネスオンライン』2016年3月10日更新分)にも、こんなことが書いてありました。

Googleの人員分析部は「心理的安全性」が鍵になることに気がつき、一部のリーダー格社員にこのポイントを共有しました。
とあるチームのリーダーは、その研究結果に衝撃を受け、チームメンバー全員を集めて、ミーティングを開きました。なんと彼はそこで、自分が「スピードは遅いが、転移性の癌に侵されている」と打ち明けたのだそうです。

すると、リーダーの告白をきっかけに、メンバーひとりひとりが、自分のプライベートな情報を開示し始めました。そこから自ずと、チームの生産性を高めるために何をすべきか、という議論に移っていったのだそうです。

日々の積み重ねが「心理的安全性」を高くする

僕は、「心理的安全性」のあるチームを創る、というのは、一朝一夕で出来ることではないと思っています。

前回のメルマガで紹介した三重県の小学校教師・辻先生も、小手先のテクニックに頼っていたわけではありませんでした。子どもたちと信頼関係を築いていけるように、常日頃から、様々な取り組みをされていました。

誰かが自己開示をしても受け入れる空気を先生が作っていたからこそ、子どもたちの自主性も育まれていったのだろうと思います。

グーグルも、チームの心理的安全性を高めるためのポイントを、20以上列挙しています。

「チームメンバーから学ぼうという意欲を持って質問する」
「自分の仕事の進め方や好みをチームメンバーに伝え、チームメンバーにも同じように自身のやり方を皆に伝えるよう促す」
「自分の弱みを見せる。仕事や失敗に関する自分の個人的な考え方をチームメンバーに伝える」
といった具合です。

とにかく、僕が伝えたいのは、心理的安全性を高めるためには、粘り強く、メンバーひとりひとりと向き合い、リーダーもメンバーも全員が信頼しあえるような空気を日頃から作っていかなければならない、ということなんです。

僕も教師という仕事を通して、これまで度々、チーム作りの難しさを実感してきました。けれど、一度「心理的安全性」の高いチームが出来上がってしまえさえすれば、あとは各々のメンバーが自主的に動き、自走するようになる、ということもわかりました。
問題が起きても、あえて口出しせずに、子どもたち同士で相談して解決させるように促すなどの工夫もしていました。

生徒のうち誰かが自己開示すると、そこが「台風の目」のようになり、全体が巻き込まれていく、ということもよくありました。なので、横着せずに、一度本腰を入れ、チームマネジメントに力を注いでみる、というのも良いだろうと思います。

パッとやってすぐに出来る、便利なテクニックは残念ながらありません。

ですが、メンバー全員にとって居心地が良く、自主的に働けるチームを作ることができれば、それは何よりの自信になるでしょうし、自ずと結果にも繋がるでしょう。仕事をどんどん任せられるようにもなるかもしれません。

今からでも、遅くはありません。リーダーでも、メンバーのひとりでも、誰がきっかけとなっても良いのです。

ぜひ、今週は、「心理的安全性」を高めるための具体的な行動をとってみてくださいね。

下記に添付しているGoogleの公式サイトでも、心理的安全性を高めるためのヒントが詳しく書かれています。どうぞ参考になさってください。

 

【参考文献】

「心理的安全性」を測る手法として、組織行動学者エイミー・エドモンソン氏が提唱した7つの質問があります。
こちらをチームメンバーに尋ねてみるのも良いと思います。

・質問1:「チームの中でミスをすると、たいてい非難される」
・質問2:「チームのメンバーの間で、課題や難しい問題を指摘し合える」
・質問3:「チームのメンバーは、自分と異なることを理由に、他者を拒絶することがある」
・質問4:「チームに対してリスクのある行動を取っても安全である」
・質問5:「チームの他のメンバーに助けを求めることは難しい」
・質問6:「チームメンバーは誰も、他人の仕事を意図的におとしめるような行動をしない」
・質問7:「チームメンバーと一緒に仕事をするとき、自分のスキルと才能が尊重され、活かされていると感じる」

ガイド: 「効果的なチームとは何か」を知る(Google re:Work)
→ http://mshn.jp/r/?id=0z7dk2462&sid=4758

グーグルが突きとめた!社員の「生産性」を高める唯一の方法はこうだ(講談社『現代ビジネスオンライン』2016年3月10日更新分)
→ http://mshn.jp/r/?id=0z7dj2462&sid=4758

「すごい先生のシンプルな授業」辻哲哉氏
→ http://mshn.jp/r/?id=0zaxl2462&sid=4758

 

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