おはようございます、稲垣友仁です。
現在、ある企業の管理職クラスのパーソナルコーチングを行っています。
テーマは「自律的人材の育成」です。
上司Aさんのもとには、多くの部下が相談に訪れます。
部下が相談に来た時、いつもすぐに答えを伝えていました。
「それはこうやってやってみてください」
それが上司であるものの使命だと思っていました。
しかし、言えば言うほど、「そんなのわかるだろ」と思えるような簡単なことでも相談に来て、自分の仕事ができずに困っていました。
自律的人材を育成するためにはコーチングスキルを使うべきだと強く感じたAさんは、自分のコミュニケーションを変えることを決断します。
部下が相談に来た時には必ず
「~さんは、どうしたらいいと思っているの?」
という、こちらからの質問をまずは行うようにしてみました。
そうすると、相手から出てきた答えの中には、Aさんが思っていたものを超えるようなクリエイティブな考えもあったりして、相手の持っている能力に、とてもびっくりしました。
最初は、上司としての使命を放棄しているような感覚に陥ることもあったそうですが、徐々に相談にくる人数が減り、また、相談に来ても、まずは自分の意見を言ってくれるようになったので、効果をとても感じています。
ここまでは、パーソナルコーチングで支援をしていると、よくある話しです。
Aさんは、さらに下記のような言葉を付け加えることで、部下の意欲を引き出せることに気づきます。
それは、
「なるほど、~さんがそう言うならぜひやってみてください。」
という言葉です。
この言葉をかけると、不安そうに来た部下の顔が、一瞬にして嬉しそうな顔に変わり、モチベーション高く職場へと戻っていくそうです。
多くの人が自分の行動が、間違っているんじゃないか、失敗するんじゃないかと心配しています。だから相談に来るのです。
「~さんが言うなら」というのは、「君を信頼してるよ。君なら行けるよ」というメッセージです。
部下が本当に欲しかったものは、「答え」ではなく「自信」だったのかもしれないとAさんは気づきます。
自信を得た部下は、どんどん自律的に活動をしていき、その様子を見ている周りも触発されてチーム全体が活性化されていきます。
素晴らしい気づきだったので、シェアしたいと思います。
今週は「~さんが言うなら、ぜひやってみて」というキーフレーズをぜひ使ってみてください。
当然ですが、こちらが望んでいる答えを出せない方も出てきますので、そういう方は教えてあげることも必要です。
自分の意見に自信を持てていないけど、素晴らしい意見を持っている人の後押しから始めていって下さい。
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