おはようございます、稲垣陽子です。
突然ですが、今日は「寅さん」のお話です。
寅さんと言えば、渥美清さんが演じた「フーテンの寅」こと車寅次郎のこと。
テキ屋を生業とし、自由気ままに生きていて、好きなところに旅をして、好きな時にフラッと故郷の葛飾柴又に戻ってくる。いつも、美しい女性と出会って、おおむねモテる・・・。
映画の中とはいえ、なんと自由な人生なんだ、と思います。
でも、この映画のタイトルって「男はつらいよ」ですよね。
よく考えれば、イメージとは真逆のタイトルだなって思いませんか。
イメージだけを顧みたら、「男はつらいよ」よりも、「男は自由」みたいなタイトルの方が合うのでは、とふと思ったのでした。
なぜこのタイトルになったのでしょうか。
実際に、このタイトルになった理由は諸々あるようですが、私は映画評論家ではないので、そこは門外漢として話題にしませんが、個人的には「男はつらいよ」という言葉はとても含蓄があるように感じます。
実際に、「男はつらい」と思って生きている男性と「女はつらい」と思って生きている女性と、どっちが多いか?と統計を取ったら、きっと女性の方が多いのではないかと思うのです。
これは、実際に女性の方が制度や社会的に息苦しいとか、そういうことではなく、女性の方が「つらいよね」という感情を認識した時、言葉にして表現する確率が高いからではと思うからです。
つまり、「つらい」と感じた時に「つらい」と言葉にする率が女性の方が高いということです。女性はつらい状況の時に「つらいよね」といい、そうね、と共感されて、ああ、確かに私はつらいと認識できます。
逆に言うと、男性がつらいのは「つらいよ」と表立って言えないことにあるのでは、と思います。
出だしのイントロがとても有名な、寅さんの名曲「男はつらいよ」の歌詞を見ると
男というものつらいもの
顔で笑って腹で泣く
とあります。
令和の時代では、「つらい」と言えない男性は少数派かもしれませんが、
「つらい」と言う代わりに頑張り過ぎたり、
「つらい」と言う代わりに、察することを要求したり、
「つらい」と言う代わりに飲み過ぎたり、
なんてことが、寅さんの時代にはあるのかもしれません。
まだまだ「つらい」と一言言えば済むことが、たくさんあるように思えます。
ということで、6月も下旬。
お疲れもたまっている頃だと思います。
ぜひ「つらい」時には「つらい」と素直に伝える1週間にしてみましょう。
また、これは伝えても大丈夫という安心感が必要です。
聞き手は「つらい」と言われたら、そんな弱音を吐くな!とか、私の方が辛い!ではなく「つらいんだね」と受け取ってあげる。
お互いに自由に「つらい」が言い合える関係は、何より安らかな関係になるのではと思います。
では、今週も素敵な1週間をお過ごしください。
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