おはようございます。稲垣陽子です。
拙著「言いづらいことをサラリと伝える技術」ですが、おかげさまでたくさんの方にお読みいただいており、嬉しい限りです。ありがとうございます。
今日は、本の中にある「言いづらいことをサラリと伝えられるようになる」ために必要な5つのパワーの一つ、「共感力」についてお伝えします。
共感とは、相手の立場に立って物事を捉え、相手の考えや思いを想像していくこと、です。
ではそもそも「共感力のある人」ってどんな人なのでしょうか?
皆さんはどんな人をイメージしますか?
私は「共感力が高い人」と思うと、一番に思うのはマザーテレサ。
慈愛に溢れて、誰とでも分け隔てなくコミュニケーションが取れる愛の人。
そんな人が「共感力が高い」人の印象がありました。
あるいは誰とでも気軽にコミュニケーションがとれるいわゆる”人たらし”な人です。
よって、共感力を高めるためには、まずは誰とでも寄り添える人間力を高めなくてはいけないのでは、と思っていました。
そして、それはハードルが高いぞ・・とも。
しかし、ある時、そのイメージがガラっと変わる体験をしたのです。
それはある研修での出来事。
そこでは、別の視点で共感力など8つの能力のチェックリストを行い、その後、点数の一番高かったもの同士に集まってもらいグループを作ってもらいました。
私は、共感力が高い人たちは、前述したように、人間力に溢れたいわゆる“慈愛に満ちた雰囲気の人”が集まるだろう、と思っていたのです。
でも実際は・・・違いました。(あ、あくまでも見た目の問題です!)
共感力が高い人、として集まった顔ぶれはどちらかというと冷静で穏やかな感じの人、人気者の周りで静かに微笑んでいるようなタイプの人が集まってきたのです。
私が当初予想していたイメージとは違っていました。
そこで、私は共感力が高い人にインタビューをしてみました。
すると、一つの特徴が見えてきたのです。
それは、彼らは「人はそれぞれ違う」という視点で人を見ている傾向が高いことがわかったのです。
目の前の人と一緒に共通の何かを見出そうとするよりも、人はそもそも個別であり、それぞれ違うということを尊重していることが良くわかりました。
つまり、人はそれぞれ違うし、それぞれ色んなことを思うよね、それでいいんだよ、ということに寛容である人々だったのです。
それを見て、私はなるほどと腑に落ちたのでした。
本にも書いてありますが、共感と同感は違います。
同感は、自分の体験を通して相手の気持ちや考えを理解することです。
ある意味、“人たらし”の人は同感がうまいのかもしれません。
明石家さんまさんの会話をテレビで見ても「あ~それわかるわ~、僕もそうやったん~」みたいな感じで話を自分の方へ持っていきますよね。
それに対して共感は、相手の感情を、ただそのまま、ありのままに受け止めることです。
そのためには、「人と自分は明らかに違う」という前提が必要なのです。
自分はそう思わないけれど、あなたがそう思う、ということを受容し寄り添う。
そのためには冷静な視点が求められます。
つまり、共感力はあなたの人間力が左右される訳ではありません。
必要なのは、人との違いを受け入れる冷静な視点です。
ということで、今週は「共感力」を磨くことを意識してみましょう。
相手と自分の違いを冷静に受け入れ、寄り添ってみましょう。
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