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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 陽子

目に見えない環境を整える 「積み上げ力」

ある高校の先生から聞いた話です。

生徒のAさんは、生活習慣が乱れ気味。
よく遅刻をしてきます。

また、遅刻だけではなく、靴下に柄が入っていたりと、
服装や髪型にも校則違反が見られます。
先生はなんとかAさんの生活を整えたいと思っていました。

そこで着手したことは、遅刻の改善。

Aさんが、遅刻をせずに学校に来ることにコミットしました。
まずはAさんと話をしました。
遅刻をしないためには、何時に起きればいいんだ、
どうしたらその時間に起きれるようになるのか
、起きたら何をするのか、
など、遅刻の原因ではなく、
具体的な行動についてコーチングを使いながら聞いていきました。

この先生の凄いところはここから。
まずは先生とAさんで行動の「約束」を取り決めました。

所定の時間に起きたら、先生にメールをすること。
5分経っても連絡がなかったら先生から連絡をする。
家のことなので、普通は親を巻き込みたくなりますが、
それだと今までの関係性が邪魔をします。
先生とAさんという新しい関係の中で、約束を取り決めました。
次に、Aさんの友達に
「Aさんが遅刻をしないために、●時に起きるように決めたんだけど、明日も来るかな~」
と相談を持ちかけました。
そして、他の先生には、
Aさんを遅刻をせず学校に来ることに集中させるので、
服装や髪型についてはしばらく目をつぶっててください、とお願いしました。
結果、Aさんの遅刻に改善が見られるようになったそうです。
友達は親身になり、Aさんにラインしたり、
定時に来たらすごく喜んでくれたり、
励ましてくれるようになりました。
他の先生も、服装などをダメ出しするのではなく、
定時に来た時に声をかけてくれるようになりました。

一つの行動を起こさせるために、
目に見える環境を整えようとするのはよくあることです。
例えば、この場合なら、
良質な目覚まし時計を買う、
前の晩に制服を用意しておく、
部屋の整理整頓をする、など、
目に見える環境が変わると行動パターンは変わりやすくなります。

しかし、目に見える環境だけではなく、
目に見えない環境も整える、
特にコミュニケーション環境を変えると、
自然と行動が起こしやすい状況がより強化されます。College teacher with students
また、この先生の素晴らしいもう一つの点は、
行動を一つに絞ったこと。
多くは、遅刻と服装と・・と、気になるところが複数目につくものです。

でも、すべては脇に置き、遅刻の改善一つに絞りました。

その結果、Aさん自身も自分が何をすべきか集中でき、行動が起こしやすくなりました。
また、周りも関わりやすくなったんだと思います。
いかに行動を起こさせるか、コーチとして押さえておきたい
ポイントを学ばせていただきました。

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