おはようございます。稲垣陽子です。
ある企業のエグゼクティブコーチングを6年間継続して行っています。
その会社は途中からグローバル企業となり、リーダーは英語が必須となりました。
ネイティブと互角に交渉をするためには、日常の業務に加えて英語の勉強にも力を注がなくてはいけません。
ほとんどのリーダーが、課題目標の中に英語のレベルアップを入れるようになりました。
しかし、多忙を極めるリーダーにとって英語学習の時間をとるのは難しいことです。
多くの人が話題にはしますが、つい後回しにしている様子でした。
月日が経つにつれ、英語については話題にしなくなる人も増えました。
その中でお一人、きちんと英語に取り組んだ方がいました。
彼は会社の行き帰りに必ずテープを聞き、自腹で英語の先生をつけたりして勉強をし続けました。
コーチングでも毎回英語については話題にして、今こんな勉強をしているとか、ここが課題だと話してくれました。
そして今年。彼の行動目標の中から「英語のレベルアップ」という項目が消えました。
今では自然と英語が扱えるようになったからです。課題として意識してから5年の月日が経っていました。
彼はなぜ英語の勉強を諦めずに続けることが出来たのか、とても興味が沸いたので聞いてみました。
すると
「くやしかったから」
と答えてくれました。
自分の思ったことを伝えることが出来ない、日本語だったら言えるのに、英語というだけで伝えられない。
単純にくやしい、と思ったそうです。
さらに、この「くやしさ」は途中で対象が変わっていったといいます。
最初は相手に対してくやしく思ったそうです。英語が下手だというだけで相手にきちんと聞いてもらえない、こいつに聞いてもらえるようになりたい、というくやしさが原動力でした。
しかし、途中からは自分に対してくやしくなってきたそうです。ここまで話せるようになりたいのに、まだできない、もっと出来るようになりたい、と、出来ない自分に対してくやしく思うようになったそうです。
「くやしい」と思うこと、皆さんはありますか?
私はあります。
でも、同時に、そう思う自分をみっともなく感じたり、悪い人のように感じてしまいます。
とかく私たちはネガティブな感情を否定的に捉え、思ってはいけないものとして扱う傾向があります。しかし、上手くつき合えれば、自分を鼓舞するパワーに変換することが出来ます。
良かったら、今週はあなたが「くやしい」と思うことに正面から向き合ってみましょう。
何がくやしいのか、どの部分が自分をくやしくさせるのか、見つめてみる。
悔しさの原点が分かれば自然と行動が生まれてきます。
悔しいという感情をないものとして後回しをすると、「後悔」することになるかもしれませんね。