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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

【共創コーチング®︎コラム】なぜ今、哲学が必要なのか

おはようございます、共創コーチの稲垣友仁です。

先日、共創コーチング実践CLUBの毎月1回のオンライセミナーにて
臨床哲学と哲学対話」というテーマの企画を行いました。

この実践CLUBでは、コーチングに関わる周辺スキルを学ぶことで、
コーチ力アップすることを目指して行われています。

今回は、大阪大学で臨床哲学を学んでいる船橋憲子さんをお迎えし、
哲学対話の考え方についてお話を伺い、実際に哲学対話の様子を見せていただきました。

コーチングを学んでいると、多くの人は「質問の技術」や「セッションの進め方」といった
スキルに関心が向きやすいものです。

もちろんそれらは大切です。
しかし、コーチングは単なるコミュニケーション技術ではなく、
人間や人生についての考え方、つまり哲学と深く関係しているという側面もあるのです。

なぜ今、哲学が求められているのか

最近、様々な場面で「哲学」という言葉を耳にするようになりました。

特にAI時代においては、哲学の重要性が語られることが増えています。

経済学者の成田悠輔さんも、これからの時代に必要な力として
「哲学的思考」を挙げています。AIが多くの知識や情報を扱えるようになった今、
人間に求められるのは単に情報を知っていることではありません。

むしろ、

・その情報は何を意味しているのか
・その判断は本当に正しいのか
・私たちは何を大切にするべきなのか

といった、前提や価値観を問い直す力が重要になってきています。

AIは膨大な情報を処理し、答えらしいものを提示することはできます。
しかし「何を問うべきか」を決めることはできません。

どの問いが重要なのか、どの価値観を大切にするのか。
その判断は、最終的には人間が行うものです。

実際、海外では哲学の博士号(PhD)を持つ人材を企業が採用するケースも増えています。
特にAIやテクノロジー企業では、倫理や価値観を考える専門家として
哲学者が関わる場面が出てきていますし、
役員に関わるコーチも企業の価値観や倫理を扱うケースも増えています。

例えばAIの開発では、次のような問いが必ず生まれます。

・AIはどこまで人間の判断を代替してよいのか。
・アルゴリズムの判断は公平なのか。
・人間の尊厳や自由はどのように守られるべきなのか。

これらは技術の問題ではなく、人間とは何かという哲学的な問いです。

つまり今の時代は、「知識がある人」が価値を持つのではなく、
何を問うべきかを考えられる人が価値を持つ時代になりつつあります。

だからこそ、哲学が必要なのです。

コーチングと哲学の共通点

今回の哲学対話を通して改めて感じたのは、コーチングと哲学はとても似ているということでした。

哲学対話では、次のような問いが扱われます。

・良いとは何か。
・成功とは何か。
・幸せとは何か。

これらの問いには一つの正解があるわけではありません。
むしろ人によって意味が違うからこそ、問い続ける価値があります。

コーチングの現場でも同じことが起きています。

クライアントはよくこう言います。

「成功したい」
「もっと成長したい」
「良いリーダーになりたい」

しかし「成功」や「成長」という言葉の意味は、人によって違います。

ある人にとって成功とは、売上を伸ばすことかもしれません。
ある人にとっては、家族との時間を大切にすることかもしれません。
ある人にとっては、自分らしく生きることかもしれません。

つまりコーチングとは、単に目標達成を支援するだけではなく、
言葉の意味や価値観を共に探究する営みでもあるのです。

この意味で、コーチングにはとても哲学的な側面があります。

人が哲学を持つことの意味

哲学というと難しい学問のように感じるかもしれません。
しかし本来の哲学とは、「自分はどう生きたいのか」を考える営みです。

・自分は何を大切にして生きたいのか。
・どんな人間でありたいのか。
・何のために働くのか。
・何を大事にして人と関わるのか。

こうした問いを持つことで、人は人生の軸を持つことができます。

哲学を持つ人は、周囲の価値観に流されにくくなります。
また物事を深く考える習慣が生まれます。
そして何より、対話の質が高まります。

答えを急ぐのではなく、問いを大切にする。
相手の言葉の意味を尊重する。

これはまさにコーチングの姿勢でもあります。

コーチングは自分の哲学を言葉にする

コーチングのセッションでは、自分の価値観や考え方を言葉にしていきます。
そのプロセスの中で、これまで曖昧だった自分の考えが少しずつ整理されていきます。

言い換えれば、
コーチングは、自分の哲学を言葉にしていくプロセス
でもあると思うのです。

・自分は何を大切にしているのか。
・どんな人生を生きたいのか。
・何を大事にして人と関わりたいのか。

こうした問いに向き合うことで、人はより自分らしい生き方を見つけていきます。

今回の哲学対話は、改めてそのこれらのことを考える機会になりました。

コーチングを学ぶということは、スキルを身につけることでもあります。
しかし同時に、自分とは何か?人間とは何か?を考え続けることでもあるのだと思います。
そしてそれこそが、コーチングの魅力なのではないかと感じる今日この頃です。

共創コーチング
稲垣友仁

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