

おはようございます。共創コーチングの稲垣友仁です。
今日は、世界的調査会社ギャラップ(Gallup)が発表した最新レポートから、
これからのリーダー像についてお話しします。
私たちコーチの間では有名なギャラップ(Gallup)社は、
アメリカに本社を置く世界的なリサーチ&コンサルティング会社です。
もともとは「世論調査」で有名になりましたが、現在は人材開発や組織マネジメントの分野で
世界的に知られています。「強み」の書籍(*1)は日本ではとても有名です。
そのギャラップ社の最新レポート『変革への挑戦:日本の職場の新しい姿』(*2)によると、
日本の従業員エンゲージメント(仕事への熱意・主体的関与)比率は、わずか7%で、
世界で最も低い水準にあると伝えています。
■エンゲージメントとは?
ギャラップはエンゲージメントを
「仕事や職場に対する積極性・熱意の度合い」 と定義しています。
エンゲージメントが高い組織は以下の特徴があります。
・生産性が上がる
・離職率が下がる
・企業価値が向上する
つまり、エンゲージメントは企業のパフォーマンスに直結する重要指標です。
しかし日本は、世界でもっとも低い水準にある──という問題が浮き彫りになっています。
レポートで特に強調されていたのは、若い世代の価値観の変化です。
代表的なポイントを引用します。
「現代の従業員は、完璧ではなく、透明性・フィードバック・勇気を求めている。」
「最も有能なリーダーとは、最も賢い人ではなく、最も人間味のある人である。」
また、20〜30代の 6人に1人が退職代行サービスを利用した経験がある という
データも紹介されており、企業と従業員の関係性が大きく変わっていることが伺えます。
■若い世代が重視するもの
・会社の目的(パーパス)やビジョン
・個人の成長
・フィードバック
・人間としての温かさ
これらは今までの「管理型リーダー」では対応しづらい領域でもあります。
ギャラップの分析では、
チームのエンゲージメントの約70%は
「直属のマネージャー」で決まるとされています。
そしてレポートは明確にこう述べています。
「マネジャーは部下を管理するのではなく、コーチングできるようになる必要がある。」
■コーチングとは?
・相手の可能性を信じる
・問いを通して成長を引き出す
・指示ではなく対話で動く
つまり、リーダーに求められているのは
“管理者”から “コーチ型リーダー”への進化 なのです。
ギャラップによると最も優れたマネジャーは
下記の3つの要素からなる明確な考え方に基づいて行動しているとのことです。
・強みを活かす:
部下の得意分野を把握し、個々の仕事や成長をサポートする。
・エンゲージメントを重視する:
健全な業務習慣を構築し、チームへの評価・フィードバック・期待を明確に伝えることを推進する。
・パフォーマンス志向である:
高い目標を設定し、明確な方針を示し、チームの責任感を強める。
この3つは同時にコーチングでも主要となる支援の方向です。
これらを継続することで、チームの心理的安全性とエンゲージメントが高まります。
この「マネージャー=コーチ」という考え方は、
企業だけでなく、学校・行政・医療など、あらゆるリーダーに通じます。
教師が生徒に、校長が教員に、上司が部下に、
「正解を教える人」から「考える力や成長を引き出す人」へと変わるとき、
組織の文化は動き始めます。
ギャラップのレポートの最後は、こう締めくくられています。
「変革を成功させるには、希望を与えるリーダーシップと、
コーチングを通じてチームを育てるマネジャーの日々の貢献が不可欠である。」
まさに、コーチングの重要性が明確に示されています。
私たちはこの潮流を、まさに「共創時代のリーダーシップ」だと捉えています。
相手の中にある答えを信じ、共に考え、共に成長する。
それは管理ではなく、対話による共創です。
「マネージャーがコーチになる」
──この変化は、人が生き生きと働き、学び、
成長し続ける社会への大きな一歩になると感じています。
共創コーチング 稲垣友仁
参考文献:
*1:トム・ラス(著)古屋博子(訳)(2017). 『ストレングス・ファインダー2.0』日本経済新聞出版社.
*2:Gallup.(2025). 変革への挑戦:日本の職場の新しい姿. Gallup, Inc.
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