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メルマガ「共創コーチング®」稲垣 陽子

【共創コーチング®︎コラム】褒めずに反応してみよう

おはようございます、稲垣陽子です。

先週、ある県の自治体で働く
入庁3年目の職員向けに、コーチング研修を行いました。
4日間で約240名。
目的は、後輩指導に活かすための
「コーチングコミュニケーション」を学ぶことです。
ほとんどが20代の方々。
普段は経営者やリーダー層と関わることが多い私にとって、
彼らとのやりとりはとても新鮮でした。

その中で、意外だったことがあります。
それは、「承認」というスキルへの反応でした。

「承認」とは、「相手の存在や行動を認め、それを伝えること」。
たとえば「褒める」「ねぎらう」「励ます」などがそれに当たります。

私の感覚では、20代の方々はSNSなどでも“いいね”文化に慣れているし、
学校教育にも強みの授業などがあり、
承認には抵抗がないと思っていました。

でも実際には、
「うまくできない」
「気恥ずかしい」
「何を言っていいかわからない」
と思っていることがわかりました。

おそらく「褒めなきゃ」と思ってしまうから、
難しく感じるんだと思います。

「褒める」というのは、テストで100点をとったとか、
目に見える「成果」に対して「すごいね!」と伝えることです。
そういう場面に遭遇したら、誰でも褒めることはできるでしょう。

しかし、実際の現場ではそんな場面はほとんどありません。

日常はほとんど成果に向けてのプロセス中であり、
結果に対して褒めるだけを軸に考えると
機会はとても稀なものになります。

たとえば60点しか取れなかったとき。
頑張っているけれど成果が出ていないとき。
そんなときにも「承認」はできます。

それが、「行為承認」や「存在承認」です。

これは、相手の行動や存在そのものに対して
「見てるよ」「大丈夫だよ」と反応すること。
特別な言葉や大げさな褒め言葉じゃなくていいんです。

この「当たり前に反応する」ことの大切さを、
以前パートナーの稲垣友仁から聞いた話で、
改めて実感したことがあります。

彼が、まだ中学校の先生をしていた頃、
元日本代表GKの川口能活さんを育てた外国人コーチ・マリオさんの練習を
見学する機会がありました。
その指導は、キャッチボールやランニングなど、とてもシンプルなもの。
でも、生徒たちはみるみる上達していったそうです。
その秘密は「承認」にありました。

観察していてわかったのは、マリオは生徒がボールをキャッチできたとき、
必ず何かしらの言葉で反応していました。
「グッド」「オッケー」など、さりげない言葉で、
当たり前の行動に必ず反応していたのです。

それだけで、子どもたちはどんどん安心して
チャレンジするようになるんですね。

なぜかというと、私たちの多くは「これでいいのかな?」
という不安をどこかで抱えていて、手探りで動いている感じになります。
主体的に動こうと思っていても、不安があればなかなか思いっきりは動けませんよね。

だからこそ、当たり前に思えることに
「いいね」「見てるよ」「ありがとう」と反応を返すことが大事なんです。

今週はぜひ、「すごいことを見つけて褒めよう」と気負うのではなく、
「当たり前のことに反応しよう」と思って、
身近な人の当たり前の行動に声をかけてみてください。

「いつもありがとう」
「助かったよ」
「いい表情してるね」
「そのやり方、わかりやすいね」
「さっきの対応、安心感あったよ」

一つひとつは小さくても、積み重なることで、
「これでいいんだ」と相手の安心と勇気になります。

まずは今日、ひとつだけでも。声に出してみてくださいね。

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