おはようございます、稲垣陽子です。
「人の目が気になってやりたいことができない」
誰もが一度は、そんな風に感じたことがあるのではないでしょうか?
けれど反対に、「人の目があったからこそ行動できた」「頑張ろうとやる気になった」
そんな経験もまた、誰にでもあるはずです。
この“人の目”こそ、私たちが提供しているグループコーチングの鍵でもあります。
グループコーチングとは、数名のグループに対して行うコーチングのことで、
グループ内で自然に生まれるグループ・ダイナミクス(集団の力学)を
活用しながら進めていくプロセスです。
参加者同士が互いに気づきを与え合い、影響し合う中で、
リーダーとしての在り方を見つめ直し、自らの行動を変容させて、
現場での成果や目標達成へとつなげていきます。
グループダイナミクスとは、人が集団に属したときに生じる、
関係性や行動の変化・力学のことであり、目には見えません。
だからこそグループ内の「人の目」はグループダイナミクスを
表す一つの指標として注意を払う必要があります。
うまく機能すれば、それは背中を押す「応援の眼差し」になります。
けれど放っておけば、簡単に「牙(きば)」になります。
人は元来違うものですが、違いが「悪」とみなされ、
受容がないと、異質なものとして排除されたり、
攻撃されたり、好奇な目で見られたりします。
グループといった集団だとそれは孤立感につながり、
個を傷つけることもあるのです。
だからこそ──
グループコーチの役割が重要になります。
グループコーチは、人の目が、きばや好奇に向けられるのではなく、
サポートや応援になるように、働きかける必要があります。
では、そのためにはどうしたらいいでしょうか?
つい、集団の秩序を保とうとすると、異質性を排除したり、
指摘したり、修正しようとしたくなります。
でも、それは違いをかえってあからさまにさせてしまいます。
あからさまにするのではなく、
その人の「違い」を「強み」や「才能」として昇華していくのです。
違いが見えると言うことは、
別の視点で見るとそれくらい特質している才能や強みがあるとも言えます。
例えば、言葉遣いが辛辣で強い言い方のため集団から煙たがれている人がいたとします。
その目に見える現象だけを捉えて何かしようとするのではなく、
なぜその人がそうなるのか、そこが集団の中の異質として目立つくらい、
その裏側にはどんな「強み」や「才能」があるのかと考えます。
すると、「正義感」「情熱」「忠誠心」といった才能が
見え隠れするかもしれません。
ここでもう一つ大切なのは、そのプロセスをグループで一緒に味わうということです。
それによって「牙」は特別なものではなく、
誰にでも起こりうる、才能がなせる現象として捉えられるようになります。
これがグループコーチングにおける醍醐味です。
まさに、お互いの本質を知り合う入り口であり、
グループダイナミクスの恩恵とも言えるでしょう。
“違い”を怖れず、“違い”を讃え合う。
その「場」があるからこそ、人は安心して挑戦でき、変化し、育つのです。
ぜひ、今週は会議などグループで話し合う場に
このエッセンスを取り入れてみてください。
違いがキラキラとした才能に見えてくるかもしれません。
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