おはようございます。稲垣陽子です。
今日は、共創コーチの曽布川訓子さんから、
高齢者にコーチングを活用した実践例を聞いたので、それをシェアします。
曽布川さんは、精神保健福祉士・リハビリテーション体育士で、
高齢者に運動遊びなどを指導しています。
今までは手足を動かす運動やレクリエーションを
中心に行なっていたのですが、そこにグループコーチングも取り入れました。
参加者を小グループに分け、決められたお題について一人1分間で話してもらいます。
そして、そのあと全体でシェアをします。
私は最初その話を聞いた時、
失礼ながら取り組むのは難しいのではないか、と思ってしまいました。
なぜかというと、「1分間で話す」というのは
コーチングのクラスではよく使うワークではありますが、
そんなに簡単ではありません。
実際に初級のクラスでは、要点が掴めずダラダラと話してしまったり、
逆に話すことが思いつかず15秒くらいで終わってしまう人もいます。
そのくらい1分間でまとめて話すのは難しいのです。
特に今回の対象者は最長年齢は95歳。
認知症の傾向がある方もいらっしゃいました。
でも、実際に取り組んでみると、
確かに最初は戸惑って話せない参加者もいたそうですが、
数ヶ月のセッションを通して決められたお題について
ピタッと1分で皆さん話すようになったそうです。
では、なぜ、それができるようになったのでしょうか?
それは、曽布川さんの「場づくり」にありました。
では、場づくりのために、曽布川さんがされたことはどんなことでしょうか。
以下にまとめました。
1、意図を持つ
この場で何について話をしてもらうのか、
意図を持つことが大切です。
曽布川さんはお題を用意しました。
お題は「この春にやりたいこと」とか「もう一回やってみたいこと」などシンプルなもの。
でも、ただ話してねではなく、参考になるような例を出したり、
考える時間を与えたりして、それに向かってきちんと
意図を持って話ができるようにしました。
2、ルールの徹底
コミュニケーションの取り方について、
始まる前にルールを伝えました。
1分間はその人の時間としてきちんと聞く、
否定せずに共感して聞く、1分の合図がなったら止めるといったルールです。
それを毎回、みんなわかっていると思っても伝え続けました。
3、同意を取る
上記のやり方で協力してねと同意を促し、
参加者が今何をするのか十分理解した上で実施しました。
なんだ、そんなこと!?と思う人もいるかもしれません。
でもこの徹底した場づくりが、安心した対話を生み出す場となるのです。
実際に「もう一回やってみたいこと」というお題で話した時には、
84歳の方が「昔はハワイや中国とかに行ったからやっぱり海外に行きたい。」
と話せば周りがうん、うんと同意をして聴きます。
すると「でもすぐには無理だから今年はまずは箱根に行きたい」
と意欲的な言葉が出てきます。
言葉が止まってしまう人には、周りの人が質問したり、
〜があるでしょ、と助太刀をしたりして、
1分間その人が自分のことを話せるように促していくそうです。
そうすると、何を話そうか考えて話すようになります。
周りも出てくる言葉を聞こうとします。
また、人の話を聞いて触発されて、
さらに自分の中から言葉が出てくることもあるそうです。
「もう一度お母さんの料理が食べたい」という人がいれば
数珠繋ぎのように「なくなった息子に食べさせてあげたい」とか、
普段は自分の内側にしまってある心の言葉が出てきます。
このように場が整えば、わたしたちは思いがあり、
話したいことがあるのだと気づかされます。
また、運動指導だけではなく、グループコーチングを導入することで、
計算能力などの数値も運動との総合的ではありますが、
いい結果も出ているそうです。
コーチは話す「場」を作る人とも言えます。
どんな場を作るかで相手が話す言葉も変わってきます。
今週はぜひ安心安全な「場」づくりを心がけて
目の前の人とコミュニケーションを交わしてみてくださいね。
上記の内容は、先日行ったfacebookライブより抜粋しました。
このfacebookライブは共創コーチの仲間たちと1週間に1度行っています。
こちらの動画も併せてご覧ください。下記をクリック ↓
—————————
※上記のコラムは、当社発行メルマガに掲載されたバックナンバーです。
下記のバナーから登録いただけば、毎週月曜日朝8時に、このようなコラムが届きます。
意識をもって一週間を始めることができます。