おはようございます。稲垣友仁です。
コーチングスキルの中に「承認」というスキルがあります。
相手を褒めたり認めたりする言動のことを承認と言い、
承認されると人は嬉しくなったり安心したりして行動を起こす確率が上がるので、
コーチングではよく使われます。
承認には、直接相手に伝える直接承認と、
間接的に相手に伝える間接承認があります。
直接、面と向かって伝えてもらう承認も嬉しいのですが、
間接的に人から聞く承認はもっと効果があるようです。
以前、禅を世界に広めた曹洞宗(福井の永平寺と横浜の總持寺が総本山)の
僧侶の方々に対して、コーチング研修を行う機会がありました。
その研修の中で僕が間接承認の話をしていたら、
どなたかが手を上げて
「間接承認については、昔から伝わるお経に書いてありますよ」
とおっしゃいました。
研修が終わってから、
その方が実際にお経を持ってきてその部分について見せてくれました。
そうすると、鎌倉時代初期、
曹洞宗の開祖でもある道元禅師(1200年~1253年)によって作られた
「修證義(しゅしょうぎ)」というお経の中の第4章に次のような下りがありました。
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面(むか)いて愛語を聞くは面(つら)を喜ばしめ、心を楽しくす、
面(むか)わずして愛語を聞くは肝に銘じ魂に銘(めい)ず、
愛語能(いわ)く廻天(えてん)の力あることを学すべきなり。
*修證義(しゅしょうぎ)」第4章より
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要約すると、
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面と向かって、愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、
その人の顔つきもやわらかくさせ、心を喜ばせる。
面と向かわずに間接的に愛のある言葉(承認の言葉)をかけることは、
その思いは心の深いところまで染み渡り、魂にまで響く、
慈愛の心から出た愛ある言葉(承認の言葉)は、
運命を変えてしまうほどのすごい力がある。
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ということで、
約800年前のお経に書かれるほど、間接承認の威力は大きく、
一度その人の元に届けば魂にまで染み渡るそうです。
何よりも承認の効果について鎌倉時代から伝えられていたのは驚きでした。
ぜひ「間接承認」をすることをお勧めします。
その人を直接的に承認するのではなく、承認したいことがあったら、
その人の上司に伝えたり、その人の友達に伝えたり、
その人がいないところで皆に伝えてみたりして下さい。
「~さんって、こんな良いところがあるんだよ」
「~さんに、~をしてもらって、とっても助かった」
間接承認が本人に伝わるには時間がかかりますが、
その分ジワジワと聞いてくることでしょう。
またこのような承認する現場に居合わせた人は、
それを見て真似する方が出てきます。
この他人を承認する行動習慣が組織やチームに広がると、
自然とモチベートされる雰囲気が広がり、
常にアクティブになれる環境が出来上がることと思います。
ぜひ地道に続けてみて、
良い体験があれば教えてくださいね。
参照:
共創コーチング株式会社 2008年教育研修実績
曹洞宗東海管区教化センター様主催
「青少年教化指導者研修会~子どもとの関わりに活かすコーチングスキル~」
https://coaching-syst.co.jp/2008/page/2/?cat=4
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