おはようございます、稲垣友仁です。
先週は、息子の中学校の卒業式でPTA会長として祝辞を述べました。
新型コロナウィルスの対策として、体育館は窓全開で行いましたので、かなり寒かったのですが、思い出に残る卒業式になりました。
今日は、祝辞で述べた文章を紹介します。
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前略
さて、現在日本は未曾有の危機に直面しています。
先週までは中国、日本などアジア地域だけの問題かのようでしたが、今は世界的な危機が急速に広がっています。
現在、中国の上海に住んでいる知人から聞いた話を、今日は皆さんに紹介したいと思います。
「危機」という漢字があります。中国では、「危机」と書くそうです。ちなみに「wei ji」と読みます。
日本と中国で文字は少し違いますが、基本的に同じ意味です。
しかし、近年の中国ではこの文字に対する意味の捉え方が変わってきているそうです。
日本で「危機」という言葉を辞書で引くと、「悪い結果が予測される危険な時、状況。危うい状態」と書いてあります。
まさに今の日本や世界の状態かと思います。
しかし、私たち日本人の漢字のルーツである中国では1930年代ぐらいから、考え方が変わってきていて、この「危機」のことを
「危険+機会」 と捉え直し、
「危険と機会が共存している状態。意思決定と問題解決能力が試される瞬間。人生、組織、社会発展のターニングポイント」
という意味として理解が広がっているということを、私の中国にいる知人が教えてくれました。
今は危機的な状態が中国から始まり、世界に広がっています。
しかし、「危機」というのは、変わる機会でもあるし、人によってはターニングポイントにもなるのです。
私の人生を振り返った時も自分自身が変わった、ものすごく成長したという時は、まさに自分にとっての「危機」が訪れた時の後でした。
今の皆さんにとって、世界的なこの現象を「危機」とは感じない人もいるかもしれませんが、将来、皆さんにとって、「もうだめだ」と思う「危機」が何らかの形で来るかもしれません。
その時に覚えておいて欲しいのは、「危機」というのは、危険もあるけど、変われるチャンスでもあるということです。
幾多の危機を乗り越え、私たち人間は、今日の発展を遂げてきました。
このような「危機」に私たち人間は協力しあい、この難曲を乗り越えることで、また一歩「進化」していくのだろうと思います。
そういう意味ではこの「危機」の後の世界に私たちがどう「進化」しているのか楽しみでもあります。
「ピンチはチャンス」という言葉があります。
卒業生の皆さん、ぜひこの中学校で学んだことを活かして、そして、共に学んんだ仲間を大切にして、今後もより良い人生を送ってください。
後略
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ちなみに、危機を「危険+機会」と捉える考え方は、1930年代に西洋人のリーダーがスピーチで中国語を例に使ってから広まったそうで、言語学的にいうと「危ない時(機)」という意味になり、本来的には、「危険+機会」という意味合いはないそうです。
多分、時代時代のリーダーが人々の不安を安心に変えるために、未来への希望を失わないために、使ったのではないかと思います。
コロナが過ぎ去った日のことをアフターコロナと呼ぶ人が増えてきています。
今は本当に不安しかないですが、アフターコロナの世界に私たちがどのような進化を遂げているのか、希望を持ち、この不安を皆で協力しながら切り抜けていきたいと思います。
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