記事一覧
メルマガ「共創コーチング®」稲垣 友仁

目には見えない関係性を見る力

11707824_908059862580471_6233225661836966537_nこんにちは、コーチング・システムズ稲垣友仁です。

ここ最近よく、「伊勢神宮式年遷宮」や「伊勢志摩サミット」など、『伊勢』という地名を目にすることが多くなってきたのではないでしょうか。

その三重県伊勢市において、本年度「伊勢市コーチングプロジェクト」というプロジェクトが始まりました。

このプロジェクトは、伊勢市役所職員向けの研修で、『自ら考えて行動できる人材の育成を図り、自発的で活力ある組織風土の構築を目指す』ということを目標に、今年7月から来年1月までの長期研修として始まりました。

自治体として、このような大きなプログラムの中心に「コーチング」を取り入れるのは、小田原市に次いでのこととなります。

当社コーチング・システムズは、三重県を本拠地としている関係もあり、本年度から、このプログラム「伊勢市コーチングプロジェクト」を進めていく大役を仰せつかりました。

そのポイントとなったのは、今までお伝えしてきている『共創コーチング』のメソッドです。

これまでのような一方的なコーチング、リーダーシップではなく、「お互いを知り、お互いの力を十分に発揮できる環境を共に創り出す」というコーチングコンセプトが受け入れられた形です。

今回のこの伊勢市でのプロジェクトでは、全職員約500名以上もの方々に、「コーチング」をインストールし、ある階層を軸に組織全体の風土を変化させていくというプランを組んでいるのですが、今後、どう変化していくのか楽しみです。

近年、組織風土を変えたいという取り組みは、あらゆる組織・企業で行われており、その中に、「コーチング」を取り入れて行われるものも増えてきました。

これは、企業や自治体という組織だけでなく、教育現場においても同じです。

さて、ここで考えていただきたいことがあります。

ある小学校のあるクラスには、36名の児童がいて、男女比が半々ぐらい。

通常通り、授業を行っているのですが、なかなか自発的に手が上がりません。

「何で手を挙げないの?分からないの?」と言っても反応がありません。

もし、あなたがこのクラスの担任だったら、どのような方法で、児童が自ら手をあげて発言できるようにしていきますか?

ちょっと難しいと思いますので、下の選択肢の中から、あなたが効果的だなと思うものを選んでみてください。

1.手を挙げなさいと、その都度伝える。

2.手を挙げる練習をさせる。

3.手を挙げることが大切なことだと話をして伝えていく。

4.手を挙げた子を褒めていく。

5.授業の良さ、楽しさを味あわせる。

6.どんなクラスを創りたいのか、どんな授業にしたいのか話をさせる

さて、あなたなら、どの方法を採りますか?

よく若手教師にありがちなのが、上記の1~3の方法です。

私も若い頃、教師をしていたのですが、その当時は、1~3の“力技”で、無理やり手を挙げさせていました。

一方、ベテラン教師は4~6を行って結果を出し組織の雰囲気を変えている方が多いように思います。

ここであなたに紹介したいのが、ダニエル・キム教授(マサチューセッツ工科大学教授)が提唱している『組織の成功循環モデル』というものです。

ダニエル・キム教授の理論として、組織には、下記のような循環があると言うことです。

関係の質 → 思考の質

↑       ↓

結果の質 ← 行動の質

これは、どういうことかというと、結果を出したければ、行動の質を変化させなければいけないと思うのですが、実は、その前の、「思考」や、「関係性」を変えるところまで戻って変化を起こさないと本質的な変化には至らず、欲しい結果を受け取れないということです。

つまり、表層的な(目に見える部分)の変化を求めるのではなく、相手の行動の源になっている部分(思考や関係性)を理解し、変えていくことをしなければ、根本的な解決にはならないということです。

上記の学級の例でお話すると「自ら手を挙げる」という結果を得たいわけですから、目に見える、行動だけに着目していると、「手を挙げる」という直接的な行動を引き出そうとしてしまいます。

もちろん、一時的に行動は変わるかもしれませんが、これは教師による“力技”なので、いつまでも教師がひっぱらなければ持続しませんので、最後には疲れてしまいます。

しかし、上記の『成功循環モデル』を知っている人は、思考や関係性を変えて行かなければ、行動の本質は変わらないと知っているので、クラスの子どもたちの関係性を良くしていくことや、思考が前向きになるような行動を行わせるように指導します。

子どもの関係性が安心感であふれ、前向きになると、自然と「発言したい」という気持ちが芽生えます。
そうすると、授業で自発的に答えたくなりますので、自然と手が上がるようになっていくのです。

ある行動を引き出したいときは、その行動を力技で無理やり引き出すのではなく、その行動が自然と起こってしまう、思考や関係性とは何か?を考えていくことが、非常に大切だと、ダニエル・キム教授の『組織の成功循環モデル』は、教えてくれているのです。

もしあなたが、ご自身が関係する組織を変革したいと思っているのであれば、まずは、関係性や思考を具体的に変えて行くノウハウを知り、それを実践していくことが重要になるということです。

DSC_0196

宇都宮大学の科学人材育成プログラムで、当社のセルフコーチングが採用されています
一覧に戻る
リレーションンシップコースを行いました