おはようございます。稲垣陽子です。
昨秋の話ですが、私は兄を亡くしました。享年45歳でした。
兄の死後、私はしばらく実家に戻り、残された父母とともに過ごしたのですが、
その間、たくさんの人が特に息子を亡くした母に、心を配ってくれました。
そして、様々な行動に形を変えて、母の悲しみに寄り添ってくれました。
例えば、
大阪在住の従兄は出張の帰路を関空から成田に変えて、わざわざ実家に立ち寄ってくれました。
別の従兄も、仕事を休んで1週間弱、家に寝泊まりし、母のそばに居てくれました。
ろくに食べていないだろうと、毎日手料理を差し入れてくれる友人がいました
今でも、数日おきに電話をしてきて、5分程度の何気ない会話をしてくれる叔母がいます。
どれも、誰かが頼んだわけではありません。
「どうしたら、母の悲しみが少しでも楽になるだろう、そのために自分は何ができるだろう」
それを熟考し、気づいたアイデアを粛々と行動に移してくれたのでした。
それらはどれも母の心の傷を慰めてくれました。
私はその姿を見てはっとしました。
コーチングを説明する時など、私はしょっちゅう「主体的」という言葉を使っているけどきちんと理解していなかった、
主体的に動くとは、こういうことだったのか、
と改めて腑に落ちたのでした。
主体的とは、相手のために気づいたことを基に、自分ができることをすること。
一般的に、「主体的」と言うと、率先してリーダーシップを発揮することだと思われます。
そこには革新的で、周りを変化させるような意志も感じられます。
でも、本来、主体的とは「自分が気づいたことを言動に変えること」です。
なので、会社の前にゴミが落ちていたのに気づき、きれいにしたいなと思って拾う、というのも主体的ですし、
残業をして頑張って仕事をしていた人にねぎらいたいなと思って「お疲れさま」と声をかけるのも主体的です。
もちろん、気づきのままに闇雲に動けばいいという訳ではありません。よく考える必要があります。
自分よがりにならないように、視点を広げて考えたり、人からフィードバックをもらいます。
その時に、コーチングが役に立ちます。
相手の捉え方、コミュニケーションの仕方、など、コーチングが持つスキルや体系的な視点が役に立つのです。
だから、私はコーチングを「相手を上手く活かせる手法」とも呼んでます。
組織や集団の中にいると、一度は「主体的に動く」という言葉を聞いたことがあるのではと思います。
主体的に動くために、向いてないけれど、リーダーシップを発揮して影響力のあることをやらなければいけないと自分を鼓舞している人もいるかもしれません。
でも、自分のためではなくて、誰かが喜ぶかも、という思いの中で、気づいたことをやってみる、ある意味「おせっかいに生きる」ことが、主体的に生きることにつながるとも言えます。
そう考えると、主体的であることは誰にでもできること。
何かに気づき、動く勇気さえあれば。
では、また。
今週もどうぞステキな1週間をお過ごしください。
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今週末は関係性の作り方です。
思いを伝えるために知っておきたい必須の相手の捉え方が学べます。
http://www.coaching-syst.co.jp/school/basic.html#relationship