おはようございます。稲垣陽子です。
前回は「流していい」というテーマでお伝えしました。
相手に指示命令で何かをさせるのではなく、その場を流して、自然と動きたくなるように仕向けていく、
そんな内容でした。
今週は、あえて逆のことをお伝えします。
「流さず直面させる」ということを。
コーチングの研修などで、よく人との関係について質問をいただきます。
部下が主体的に動いてくれない、子どもが何度注意しても同じ間違いをする、やる気のない社員がチームの雰囲気を壊している、等など。
先日も、年上の部下が主体的に動いてくれない、どうしたものか、という質問をもらいました。
部下はなぜ動かないのか、などを聞いていくと、とても流暢に答えてくれます。
その方が日頃からこの件について真剣に考え、頭を悩ませているのがよく伝わってきます。
そこで、「部下にどうなって欲しいですか?」と聞くと、
「午前中は率先して営業に出て欲しい。彼の部下の手本になって欲しいから」
と言いました。
それを伝えましたか?と聞くと、
「一度伝えたことがあります。でも何も変わりませんでした」
と言いました。
一度きりなのが不思議に思ったので、なぜもう一回伝えないのかと聞くと、
「相手もプライドがありますからね・・・それとなく分かってもらうために、朝礼で話したりしているんですけれど」
と答えてくれました。
そこで、
「何も変わらなかったことについて、こんな風にあなたが悩んでいるということを相手は知っていますか?」
と聞くと、
「知らないと思います。っていうか、そういうのを見せる訳にはいかないですよね。見せたら弱い上司と思われちゃいますよ。ただでさえ年下ですか ら・・・。」
と返ってきました。
この二人の関係性の中に微妙な「遠慮」が流れているようです。
遠慮とは辞書で調べると、「人に気を使って言葉や行動を控えめにすること」と書いてあります。
相手を気遣って言葉や行動を控える。
良好な関係を作るには大切な視点です。
でも、人が誰かに遠慮をする時、二つの要素があるように思います。
一つは、
この一言を言って、相手を傷つけてしまうかもしれない、と思って遠慮をする場面、
もう一つは、
この一言を言って、相手を傷つけてしまったらその後の関係が面倒くさくなるな、と思って遠慮する場面、
二つあります。
つまり、相手のためにする遠慮なのか、自分のためにする遠慮なのか。
もしも「遠慮」が相手のためではなく、自分を守るためのものだったら、一度それを脇に置き、その場面を流さず相手に直球を投げてみるのはどうで しょうか。
大抵、何かしらの気づきがあったりするものです。
良かったら試してみてくださいね!