記事一覧
メルマガ「共創コーチング®」共創コーチ養成スクール稲垣 友仁

北風と太陽

おはようございます。稲垣友仁です。

今週は、東京の伊豆諸島にある神津島という島で講演します。
全国いろいろと行かせていただきますが、離島は初めてなので、とても楽しみにしています。

さて、僕のコーチングの基礎は、教師時代の体験が基になっています。

特に、子ども達のハイパフォーマンスを引き出す凄腕先生が何人もいたので、その人たちの子どもとの関わり方や、クラス運営の組み立て方を目の当たりにした貴重な体験がいくつもあります。今日は、その中の一つをお伝えします。

学級担任になると、生徒には、授業中に意見を言ってほしいものです。
そうした活発な授業だと学力も深まりますし、授業参観で見た目もいい。何よりも意見が活発だと担任は安心できます。

が、しかし、現状は難しい。

ちょっと話しが難しくなると手は上がらなくなりますし、学級の調子が悪いと、なかなか意見が出づらくなります。

そこで、担任は、言いやすい質問を投げかけたり、挙手をした回数を数えてみたりと、いろいろと意見を言えるようになる手を打ちます。
僕もいろいろとやっていましたが、ある時、僕の尊敬する先生に質問したらこういわれました。

「発表者を育てるためには、聞き手を育てることが重要だよ。」と。

聞き手を育てると発表者は増えるということだそうです。

僕は、発表を増やしたいと思ったので、発表を促していました。
しかし、子ども達からしたら発表するのは緊張するもの。それを乗り越えて発表するには相当の自信をつける必要があります。ハードルがとても高いんですね。
だから、トレーニングだけで進めていくと発表する子は決まってきます。

もちろんそういうアプローチも大事だと思いますが、凄腕先生は、よく見ると、発表者も褒めるのですが、それよりも聞き手を常に褒めていました。
「よく聞いていたね」
「この聞き方されるとうれしいよね」

先生が褒める時もあるのですが、評価を子どもたちに促してもいました。
「先生は聞いていたAさんの様子を見て、すごいなあと思ったんだ、何でかわかる?」

そうしていくうちに、聞き手としてどういう態度を取ればいいかわかってきて、聞き手が育つので、意見をいいやすい雰囲気ができ、安心感の中で意見を言えるので、「言いたい」と思う子が増えていくのです。

とても自然な流れだなあと思いました。そういう地道な行動を積み重ねてイキイキとした生徒たちを作っていたのです。

私は無理に操作をして生徒から意見を引っ張り出そうとしていました。これって私のエゴでやっていたなあと反省しています。

まさに、北風と太陽でいうと、私のやり方は北風のやりかた、凄腕先生は太陽のやり方だということに気づきました。

教育するときは、どうしてもこちらの意図があるので、ひっぱってしまう北風的やり方に陥りがちです。
しかし、それでは、抵抗も生まれ、うまく行かないことも多々起こりますし、何より引っ張っている側は疲れます。

教育では、思わず脱ぎたくなってしまう、思わずやりたくやってしまう、太陽的な流れを作るのがとても大事だと気づかされました。こちらのやり方は相手の自然な力を利用するのでとても楽です。

凄腕先生からは、人間の自然な流れを利用して、コチラが思う方向に導くというコツを教えてもらいました。

経営者でも、リーダーでも、親でも、思わず北風的な視点でやってしまいたいときは多くあると思います。
ぜひ今週は太陽的なアプローチを考えてみましょう。

部下にやってほしいことがあったら、自然とやってしまうようになるにはどういう仕掛けが必要か。
子どもに動いてもらいたいと思ったら、どうしたら、自然とそのような行動が生まれるのか。そういう視点で考えてみて下さい。

思わず動き出したくなる
一覧に戻る
理想の1週間を過ごしてみる
研修と教育でリーダーを育成する【共創コーチング】
© 2016 Coaching Systems Inc.