

おはようございます、稲垣陽子です。
Aさんの部下のBさんは、いわゆる心配性タイプ。
そのせいか、いつもAさんに許可をとりにきます。
「これでいいでしょうか」
「次は何をしましょうか」と、
毎回のように報告、確認をしてくるのです。
Aさんとしてはすでに全体像は伝えているし、そもそもみんなで決めたことなので、
どんどん自発的にやって欲しいし、Bさんならできるはずと思っています。
なので、Bさんが聞いてくるたびに、
行動が受け身で消極的な態度に見えて、イライラするようになりました。
そこで、Aさんは定期面談の時に、このことについて話すことにしました。
具体的に、Bさんにどんなふうに伝えるつもりなのか、Aさんに聞くと、
「私に聞かなくていいから、自発的に動いてもいいんですよ」
「プロジェクトの期日も迫ってきているので、一緒に頑張りましょう!」
と、こんな風にポジティブに力づける言葉を伝えたいと言います。
でも、言葉の内容とは裏腹に、Aさんからは
どうもとまどいや重さのようなものを私は感じました。
そこで、私は
「全く制限なく”何を言ってもいいよ”と言われたら、
Bさんに一言、何を言いたいですか?」と聞きました。
するとAさんはまっすぐ私を見て
「『すでに決まっていることなんだから、
自分に聞かずにさっさとやれ!』ですね」と言ったのです。
その言い方はとてもパワフルで、
聞いているこちらの身体のまわりにスッと風が吹き抜けるような爽快感がありました。
それをAさんにお伝えすると、
「えー、そんなこと言えないです。きつすぎますよね」と慌てたように言います。
でも私は、
「きついというより、すごく真っ直ぐでパワフルでしたよ。
今、私の中には『風が吹いた感じ』がありました」と伝えました。
するとAさんも、「言ってみたら、なんだか体温が上がる感じがしました。
でも…やっぱりパワーが強すぎて、相手を傷つけてしまいそうで言うのは躊躇します。」
と、話してくれました。
その時、改めて私は気づいたのです。
私たちが自分の本当に言いたいことを引っ込める時、
その理由は大きく二つあるということです。
一つは、昔から「言葉は刃になる」と言われているように、
自分の言葉で相手を傷つけるかもしれない、雰囲気を悪くするかもしれないという、
関係性が壊れることへの恐れ。
もう一つは、関係性を壊すかもしれないほどのパワーが、
自分の中にはあるということへの恐れ。
普段は押さえているけれど、本当は無尽蔵でコントロールしきれないように感じるほどの、
自分自身にあるエネルギーに対する恐れ。
つまり、私たちは自分の中にあるパワーをどこかで恐れているのです。
後者のパワーの源は、あなたのビジョンや使命、生きる情熱(passion)です。
そして、本当は常に発揮されたいと望んでいるはず。
だから、本当に言いたいことを抑える時、それは時として、
自分の情熱やビジョンまでも押さえ込んでしまっているのかもしれません。
あ、安心してくださいね。だからと言って、
なんでもズバズバと言ってくださいと言うわけではありません。
大事なのは、言葉を選ぶその瞬間に
「自分の中で、どんな情熱(passion)が動いているんだろう?」
と、そっと感じてみることです。
その情熱を感じた上で、あえて柔らかく伝えるのか、
一歩勇気を出して、少しだけ本音に近づけて伝えるのか。
その選択を「怖れ」ではなく、「意図」と「愛」からできるとき、
言葉は、相手にとっても自分にとっても、スッと風のように心地よく届いていきます。
ぜひ今週は、言葉選びの際に、言葉だけではなく、
伝えたい自分の情熱(passion)や思いも感じてみてください。
相手も自分も少しスッキリするかもしれません。
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