先日、宇都宮大学で毎年行っている、3日間集中講義「共創コーチング特論」を行ってきました。
この講義は2008年に始まってから16年目を迎えました。
コーチングと名のつく大学の正式授業では、日本で一番長く開講されているものです。
上の写真は、2008年11月の日経新聞で紹介されたものです。
「高い専門性だけを磨いて就職しても、社会に貢献できない。学生に自らの力で問題を探し、解決する力をみにつけてもらいたい」
そのような先生方の思いの元始まった授業です。
先生方と話し合い、内容には「共創」の二文字を入れようということで「共創コーチング特論」が生まれました。
今年も下記のように行いました。
講義名:宇都宮大学大学院工学研究科 情報工学特別講義 『共創コーチング特論』
1.日時 2025年2月12日(水)〜14日(金)
2.場所:宇都宮大学陽東キャンパス(地域デザイン科学部・工学部)
3.内容
2月12日(日)セルフコーチング 自分自身をマネジメントする方法
・セルフコーチングとは
・セルフコーチングのステップ
・自己基盤
・セルフコーチングの活用
2月13日(月)コーチングコミュニケーション 相手も自分もうまく活かせる、掛け算のコミュニケーション
・コーチングとは
・相手と共創を創る
・聞く、質問、承認
・相手のタイプに応じた関わり方
・コーチングロールプレー
2月14日(水)自分を未来へと導く‘ことば’づくり
・ことばとは
・過去、現在、未来に散らばっている言葉を拾い集める
・未来に持っていきたいことばプレゼン
共創コーチングの始まりは、当時、大学内で教員が授業内容・方法を改善し向上させるための組織的な取組を行うFD(ファカルティ・ディベロップメント)が流行り、宇都宮大学工学部でもワーキンググループを作って、「本当の生徒のためになる取り組みとは何か?」を真剣に考えていたそうです。
その解決策の一つとしてコーチングというメソッドに行き着き、その具体的な形として授業にしたという流れで出来上がりました。
大学院でいくら豊富な知識を学んだとしても、仕事を行う現場では、それをうまく活かす土台ができていないと何の役にも立ちません。
土台は何かと言えば、授業内容を見て分かる通り、自分自身が仕事に向けて自律的なスタンスでいること、目標を達成するために自分をうまくマネジメントすること、そして、互いの才能を活かし合い、うまく人と共創が作れるようになるコーチングコミュニケーションをここで学んでいます。
また、これらの内容は将来にだけフォーカスを当てているわけではなく、現在の大学生活にも使えるようにカスタマイズされています。
例えば、バイトでリーダーをやっている学生、塾の講師をやっている学生、生徒会役員または部活動で集団をまとめなければいけない学生、部活で結果を出したい学生、就活での面談、自己PRなど、この16年の授業アンケートをベースに学生の生活にも活かせるように授業をカスタマイズしてきています。毎日授業の終わりに学生にアンケートを行い、その声を毎回授業に反映させながら修正を行っています。
下記は、3日間を過ごした学生が、最終日に書いてくれたアンケートになります。
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自分がうまく行くときは、だいたい自分の感性を大事にしているときや、自分のことを大事にしてくれる環境にいるときだと気づいた。
つまり、まず自分に必要な行動は、自分自身の思いや考えを聞いてあげることだと結論づけることができた。
自分のことを大好きにはなれなくても、少し好きになって、寄り添えるとと良いと思う。
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3日間たくさんの発見がありました。
自分語りですが、1日目の目標において、「絵が上手くなりたい」に対して出た答えのひとつ「毎日15分、必ず絵を描く(デッサン練習)」を、その日から実行し始め、とりあえず今日まで3日続いています。継続は苦手でしたが、好きなことは突き詰められるタイプかもしれないという気付きもあり、このまま続けられるような気がします。頑張ってみます。
貴重な講義をしていただきありがとうございました。
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本日を含め、三日間の共創コーチングでは、講義や演習、グループワークを通してコーチングを体系的に学ぶことができました。
最後、「昔の自分が見たら褒めてくれるかな」という言葉を選びましたが、これは私が昔から心に留めている言葉で、この言葉には、自身のことを承認したり、自身に問いかけるたりする意味を持ち、コーチングとても近いことをしていると気づくことができました。
この三日間を通して、これまでの人生の振り返りや、様々な学びや気づきを得ることができました。ありがとうございました。
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スキルを学ぶとともに、自分自身について3日間かけて振り返り、未来へ向けて自分のビジョンを一言、言葉にして、それを全員の前で発表し、授業が終了しました。