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メルマガ「共創コーチング®」未分類稲垣 陽子

【共創コーチング®︎コラム】居心地悪さと共にいる

おはようございます。稲垣陽子です。

もし、目の前に落ち込んで悩んでいる人がいたら、
皆さんならどうしますか?

人によっては、なんとか元気になって欲しいと
励ましたくなる人もいると思います。

あるいは、悩みを解決してあげたいと
親身になって話を聞き、解決策を提示したく
なる人もいるでしょう。

ネガティブ感情は悪いものなのか?

でも、よく考えたら、なぜ私たちは
励ましたくなったり、解決してあげたくなるのでしょうか。

なぜならネガティブな感情は悪いものである、
不快なものであるという思考が一般的にあるからです。

だからこそ、それを払拭させてあげたいという
思いやりや優しさが出てくるのでしょうし、
それが人を励ましや解決志向へと駆り立てるのでしょう。

しかし、本当にネガティブな感情は悪いものなのでしょうか。

「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」*1という著書
によると、

「快適さへの欲望が満たされれば、満たされるほど、
私たちの経験の幅は狭まり、人生の困難を切り抜ける練習の機会を失う

と書いてありました。

確かに、私たちは悔しさや不安、悲しみ、怒り・・
といったネガティブな感情に直面した時に、
なんとかこの状況を打破しようと、自分の中に
ある叡智を総動員して困難を乗り切ろうとします。
その経験が新たな知恵にもなります。

そう考えると、ネガティブ感情が悪いもの
であるとは限りません。

ネガティブ感情が表出した時

では、目の前の人がネガティブな感情を表出
した時はどうしたら良いのでしょうか。

ICF(国際コーチング連盟)が出している
コーチのためのコアコンピテンシー(行動水準)
に以下のような項目があります。

5-4.
コーチングの過程において、クライアントの強い
感情と向き合うことへの自信を示している

ここでいう「強い感情」をネガティブな感情と解釈すると、
コーチはクライアントが感じてるネガティブな
感情に対して、まずは、クライアントと共に
向き合うことを謳っています。

ネガティブな感情を共に味わうことは
コーチにとっても、決して居心地の良いものではありません。

しかし、その人が感じている感情を拭い去ろうとしすぎることは、
人が自分の中の知恵を総動員して状況を打破
するための知恵を探求する機会を奪っている、
とも言えるのです。

励ましたり、解決策を提示してあげることが
必ずしもその人のためになるとは限らないのです。

目の前の人がネガティブな感情でいる時、
対峙するこちらもなんとも言えない居心地の
悪さを感じます。

でも、その居心地悪さの中に共にいるからこそ、
本人が自ら答えに気づけるように導くことが
できるのだと思います。
本人が自ら導く答えほど力強く自身を牽引するものはありません。

もしも、相手がネガティブ感情を出してきたら、
居心地が悪いかもしれませんが、そこに共に
居てみましょう。ないものにしたり、無理に
ポジティブに変えようとせずに、一瞬でいいので
そのまま受け取ってみます。

目の前の人がそうやって受け取ってくれたら、
一般的にですが、本人は自分の感情を客観的に
気づくだけのスペースが生まれます。

人は感情を自覚的に識別できるようになれば
それを力として活用できるようになります。

「今、自分はどうしたら良いのだろうか」
そんな問いが自ら浮かんでくるかもしれません。

*1「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」草思社刊
トッド・カシュダン、ロバート・ビスワス=ディーナー著
高橋由紀子 訳
https://mshn.jp/r/?id=164aa3131&sid=4758

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